それは「FTIコンサルティング」がアメリカ本社の国際的なネットワークを持つコンサルティング会社であるという点に起因する。もし日本のメディア対策だけを考えるなら、サニーサイドアップなどのPR会社などに仕切らせたほうが良いに決まっている。
にもかかわらず、あえて日本で盤石の広報体制を築いているとは言い難いコンサルティング会社に任せたのは、なぜか。それは今、ジャニーズ事務所が最も恐れているのが「海外からの批判」だからだと、私は見ている。
海外での批判が高まると、日本の批判報道は確実に過熱する。「海外からの批判がやまない」という材料をメディアに提供することになるからだ。いわば批判の逆輸入だ。
タレント起用中止の連鎖
しかし、それより遥かにジャニーズ事務所にとって脅威なのは、スポンサー企業に海外からの批判の矛先が向かうことではないか。すでに国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会が、ジャニーズ事務所を巡る性加害問題で改善を迫るなど世界に広がりつつある。
「性加害に十分な対応をしない芸能事務所のタレントを広告起用するのは、世界的な人権感覚ではありえない」。そんな批判が高まれば、海外展開を重視する大企業は軒並みジャニーズ事務所のタレントをCMから降板させるはずだ。
実際、記者会見当日に東京海上日動火災保険、そして日本航空がジャニーズ事務所のタレント起用を取りやめると明らかにしている。「起用中止」の連鎖に歯止めをかけるには、「国際標準」に精通しているアメリカの大手コンサルティング会社に依頼するよりほか、なかったのではないか。
さて、なんとか今回の会見を乗り切ったように見えるジャニーズ事務所だが、今回の会見で「批判の打ち止め」とはならないだろう。10月以降、社長以外の新体制や被害者救済策の発表など追及される機会が控えている。
「新生ジャニーズ事務所が生き残れるかどうか」は井ノ原氏が語った「真摯で力のある言葉」、そして「言葉を裏付ける行動」を貫けるかどうか。その一点にかかっているのではないだろうか。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら