年収1500万「中国人エリート」が処理水を嫌がる訳 「見えない」「身体に悪い」に反応する中国の事情
そして郷里に住む親たちは今も元気だが、これからどうやって遠距離で面倒を見るかの答えが見つからない。だから、働けるときにいっぱい働かないと。とにかく不安で、とにかく心配なんだ」
こうした競争の激しい、ストレスの大きい社会環境に置かれた彼らにとって、「自分の生活に与える不安」は感情の発露のトリガーになる。「仕事でもう精一杯頑張って疲れているから、せめて安心な暮らしをさせてほしい」「子供に健康な環境で生きてほしい」「見えない不安を取り除いてほしい」という心の声が聞こえてくる。
「見えない不安から守るのは何より大事」
中国人の多くは食品安全に関する懸念をつねに抱いている。外食をするときや加工食品を買うとき、「これはそもそも本物の肉を使っているのか」「食品添加物はがんを誘発するものか」「食材をちゃんと洗ってくれているか」などなど、つねに疑問を持ちながら暮らしているのだ。製品になっているものも、原材料はどこから来たのかは不安なので疑ってしまう。
日本ではあまり知られていないかもしれないが、日本の「貝殻で作られた野菜洗剤」が中国ではバカ売れだったのもこの不安から来たものである。日本では野菜や果物を洗剤で洗うのをあまり聞かないが、中国では実はごく普通に行われている。
特に子供がいる家庭では、子供の安全を考慮して何もかも丁寧に洗う。食材だけではなく、子供食器専用食洗機・消毒器、子供服専用洗濯機などさまざまある。農薬は見えないが、食べてしまうと身体に悪そう。
大人は子供よりいろいろなものを食べているし、いろいろなところに行っているから、見えないウイルスや菌をきっといっぱい持っている……。それを子供にうつしてはいけないという発想から、子供専用の食器から洗濯機まで用意するわけだ。
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