年収1500万「中国人エリート」が処理水を嫌がる訳 「見えない」「身体に悪い」に反応する中国の事情
「放射線」が見えないことにも大きな不安を持っている。「電子レンジの放射線は身体に悪いから、電子レンジが稼働するとき、必ず離れて!」と言う人もいるし、持っていない、あるいは、使いたがらない人もいる。胎児に悪いので、1枚何万円もする「放射線防御服」も人気が高い。携帯電話の「電磁放射線」が身体に悪いと、妊娠した息子の妻に携帯電話使用を禁止する姑の話も少なくない。
「見えない」「身体に悪い」には敏感
こうした「見えない」「身体に悪い」「放射線」は中国人の心の不安を引き起こすキーワードであり、今回の処理水は見事に全部当てはまっている。
Aさんもそうした1人で、今回の処理水放出についても懸念を抱いている。「日本ではどう報道されているかわからないし、事実もわからないが、ただ、安心できる魚を食べたいし、子供に健康で安心な食事を取ってほしい。それだけだ。日本は学費が安いし中国にも近いので子供の修学旅行先として考えていたけどやはりやめる。劉さんも帰ったほうがいいのでは?」というスタンスだ。
冒頭のインバウンドの話に戻ると、放出開始から時間が経っていないため、現段階では、インバウンドへの影響を見定めるのは難しい。時々刻々、状況は変化していくと思われるので、随時にウォッチする必要がある。
ただ、上述の中国国内における不安を乗り越え、今でも来てくれる訪日中国人は、真の日本ファンであり、自治体でも企業でも大事にしたい存在だと言えよう。食事はもちろん、日本に何を求めてきたのか、そこをきちんと把握することが今後の成功につながる「カギ」になるのではないか。
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