さらばランエボ!君は本当に偉大だった 三菱自動車の高性能車が残した23年の功績

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ランエボⅩ(写真:三菱自動車ホームページより)

そして2007年、最終章を飾るエボⅩの登場となる。

ボディからパワートレインまで全面的に一新されたエボⅩでは、トランスミッションに、「ツインクラッチSST」と呼ぶ、2ペダルのDCTを採用したのもポイントだ。

ところがエボXが登場してから8年、これまでどおりエボⅪ、エボⅫに進化することに期待していたファンも大勢いることに違いないが、そうはならなかった。むろん三菱の体力の問題もあるだろうが、三菱としてもユーザーニーズの多様化により、これまでのあり方では需要が見込めなくなってきたことで、かつてのようにはエボの開発ができなくなってきた。

また、エボが終焉を迎えるそもそもの理由には、WRCのホモロゲーションモデルとして誕生した2000ccターボエンジンの高性能4WDセダンである意味合いが、WRCの車両規定の変更により薄れてきたという面もある。

国内ラリーでは現在でも活躍

WRCでは、トップカテゴリーが車両規則の変更により、もはやエンジンサイズは2000ccではなく1600ccターボの4WDとなり、車体サイズも小型化。近年はセダンが姿を消しハッチバックのみとなっている。「グループN」と「R4」という規定では、WRC-2にプライベーターがランサーエボリューションで参戦しているが、ここでも主流となっているのは、フォードのフィエスタだ。

しかし、国内の全日本ラリー、ダートトライアル、ジムカーナでは現在も活躍しており、実際、2014年は上記すべてでランサーエボリューションがチャンピオンを獲得している。また、基本的に市販車ベースで戦うスーパー耐久シリーズにおいて、排気量が2001~3500ccの四輪駆動車で争われる「ST2」クラスはランサーエボリューションのほぼ独占状態となっている。国内ではまだまだ健在だ。

そして、こうしてランサーエボリューションで培ってきた技術は三菱のさまざまな車種に応用されている。中でも4WD技術は、すでにアウトランダーや同PHEVの4WDシステム「S-AWC」における制御技術に活かされている。プラグインハイブリッド(PHEV)が単に環境性能に優れるだけでなく、走行性の面でも高く評価されているのは、ランサーエボリューションから受け継いだ財産に違いない。

さらに三菱では今後、この4WD技術を電動車両技術に活かしていくという。関係者によると、ランサーエボリューションの後継車は現時点で計画はないとのことだが、それにもっとも近いものは、これまでとはまったく別の形の、たとえば以前モーターショーに展示された、インホイールモーターを備えた車両など、もっと電動車両技術を駆使したものになることが予想できる。

ランサーエボリューションが生産終了となるのは本当に残念でならないが、いずれ世に出てくるであろう事実上の後継モデルへの期待を込めて、明るく見送ることにしたい。

岡本 幸一郎 モータージャーナリスト

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おかもと こういちろう / Koichiro Okamoto

1968年、富山県生まれ。大学卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の編集記者を経て、フリーランスのモータージャーナリストとして独立。軽自動車から高級輸入車まで、国内外のカテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでも25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに有益な情報を発信することを身上としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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