さらばランエボ!君は本当に偉大だった 三菱自動車の高性能車が残した23年の功績
まずは歴代モデルの販売台数を振り返ってみよう。
初代からの販売台数を累計すると実に約10万台にも上る。
そのランサーエボリューションの歴史は「初代エボ~Ⅲ」、「Ⅳ~Ⅵ」、「Ⅶ~Ⅸ」、そして「Ⅹ」と、大きく4世代に分けられる。
第1世代では、初代の1年あまり後にエボⅡに進化したときの変更点は小さかったのだが、その1年半後に登場したエボⅢでは、大幅に開口部を拡大し、大きなウイングを装着するなどした外観は、当時としてはとてもインパクトがあるものだったことを思い出す。
旋回性がアップした第2世代
続く第2世代で、エボは大きく変わる。ひとつの大きなポイントが、「AYC(アクティブ・ヨー・コントロール)」の採用だ。
これはシンプルにいうと、コーナリング時に、曲がりたい方向の外側の外輪を増速させるという機構で、当初は旋回時に外に膨らみやすくなる「アンダーステア」が強いことが指摘されたランサーエボリューションは、こうしてハイテクを駆使した4輪の駆動力制御によって旋回性能の向上を図ることで、コーナリングマシンへと変化していく。
当初はどちらかというと、エンジンのランサーエボリューション、ハンドリングのインプレッサというイメージが強かったが、この頃から関係が逆転した。
また、エンジン最高出力が280馬力に達したのはエボⅣ。当時の日本車にはメーカーの自主規制としてエンジンの最高出力を280馬力超にしないという「280馬力規制」があった。ただ、その水準に到達していたのは2500~3000cc級以上の大排気量エンジンであり、2000ccのエボⅣが280馬力を達成してしまったというのは、エポックメイキングな出来事だった。
そんなエボⅣは、スタイリングのよさや販売期間の長さもあって、歴代最高の販売台数をマーク。次のエボⅤでは、ついに5ナンバー枠(全幅1700ミリメートル未満)を脱し、大迫力のワイドボディを手に入れる。世の高性能車がこぞって採用している、イタリアの名門ブレンボ製ブレーキキャリパーも採用したのもエボⅤからだ。そんなエボⅤは、これまで以上にモータースポーツでも好成績を収めた。
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