現行のiPadOS 16で加わった新機能のステージマネージャは、1つの画面に複数のアプリを開き、そのサイズを変更できるというもの。わかりやすく言えば、パソコンのようなマルチウィンドウシステムをiPad上で実現するための機能だ。iPad ProやiPad AirにMacと同じ「M1」「M2」などのチップセットが搭載されていることからもわかるように、一部のiPadは処理能力がパソコン並み。その力をフルに生かすため、ユーザーインターフェース(UI)をパソコンのそれに近づけている。ステージマネージャは、その代表例だ。
ステージマネージャの柔軟性が増し、使い勝手が向上
一方で、ピクセル単位で自由にサイズを変更できるパソコンのマルチウィンドウとは異なり、ステージマネージャには制約もあった。アプリのウィンドウサイズは、一定の制約の中でしか変更できず、置ける場所も限定されていた。iPadOS 17では、この制約がより緩くなり、ステージマネージャの使い勝手がパソコンに一歩近づいている。パソコンのマルチウィンドウほど自由にアプリを配置できるわけではないものの、その使い勝手は向上している。
また、細かな改善も加わっている。例えば、Shiftキーを押しながらDock上にあるアプリをクリックすると、ワークスペース(現在展開中のアプリが並んだ画面)にアプリがウィンドウとして加わる。これまでは、ドラッグ&ドロップでアプリのアイコンを画面上に移動させなければならず、少々手間がかかっていたが、これならキーボードとトラックパッドだけで素早く操作することが可能。より使い勝手が洗練された格好だ。
iPadOS 17では、iPhoneにしか対応していないアプリも、サイズの変更が可能になった。iPad用に最適化したアプリと比べると変更できるサイズは限定されているものの、iPhone用アプリをウィンドウとして並べやすくなった。例えば、X(旧Twitter)の対抗馬としてMetaがサービスを開始した「Threads」は、依然としてiPadには最適化されていない。「Instagram」もそうだ。こうしたアプリを、横に並べていく際に、iPhoneアプリのサイズ変更は役に立つ。
11インチのiPad Proや、10.9インチのiPad Airだとやや画面が狭く感じることもあるステージマネージャだが、12.9インチのiPad Proでは、活躍の機会が多い。11インチ、10.9インチのiPadでも、外部ディスプレーに出力すれば、その利便性が大きく高まる。iPadをビジネスの中に取り入れている人にとって、ステージマネージャの改善はうれしいアップデートと言えそうだ。
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