玉木代表が再選も国民民主の「明るくない未来」 難題山積の連立入り、「第3自民」なら分裂必至

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この論争について同党内では、前原氏の主張を「実現不可能な理想主義」と批判する声が多かった。その一方で「昨年、政府当初予算に賛成したことで支持者が離れた」(若手議員)、「与党にくみするなどありえない」(閣僚経験者)などと、玉木路線への強い不満も目立った。

もちろん、玉木氏の圧勝により、野党より自民との連携を深めて党勢拡大を狙う玉木路線は維持されることになる。これまでも「自民党のアクセル役になりたい」と繰り返してきた玉木氏だけに、今後さらに与党との連携が進む可能性は低くない。

自民各派「玉木氏入閣の余地なし」

そこで問題となるのは、「連携の具体的内容」(自民幹部)だ。自民の一部には「国民民主を支持する労働組合の組織票の取り込みにつながる」(閣僚経験者)と国民民主の連立入りを期待する声もある。さらに「参院では自民単独で過半数に達していないから、政権基盤の強化につながる」(自民長老)との思惑もにじむ。

とはいえ、実現のハードルは高い。目前に迫る内閣改造人事でも自民各派はそろって入閣待機組の起用を求めており、「玉木氏入閣の余地などない」(安倍派幹部)との声が支配的。さらに、現時点での両党の衆院選での候補者調整は「極めて困難」(自民選対)というのが実態だ。

その一方で、国民民主内部では玉木新体制での前原氏の処遇も焦点となる。玉木氏は「代表選後はノーサイド」と繰り返すが、前原氏は「連立入りだけはダメ。そこまでされたら我慢できない」と周囲に語っているとされ、玉木氏が連立入りを目指せば「側近を連れて離党し、維新と組む」(前原氏周辺)との見方も出る。

こうして与野党の垣根を越えてのさまざまな臆測が飛び交う中、玉木氏は4日の、BS日テレの「深層NEWS」に出演した際、①自民との候補者調整は簡単ではない、②連合の理解と協力は不可欠――などと語った。そもそも、最高権力者である岸田首相は「玉木氏の連立入りには消極的」(側近)とされるだけに、「このままでは連立志向の玉木氏が“独り芝居”で孤立し、近い将来に代表の地位を失いかねない」(国民民主ベテラン)との声もささやかれる。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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