「矢田・首相補佐官」に見る"岸田流したたか戦略" 露骨な連合分断作戦、自公国連立の布石にも

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首相補佐官の辞令交付後、矢田稚子氏(左)と撮影に応じる岸田文雄首相(写真:時事)

第2次岸田再改造内閣発足の2日後の15日、岸田文雄首相が元国民民主党参院議員の矢田稚子(やたわかこ)氏(57)を、賃金・雇用担当の首相補佐官に任命したことが、「岸田流強か戦略」として政財界や労働界に複雑な波紋を広げている。

矢田氏は①1984年松下電器産業に入社、②2016年の参院選比例区に「電機連合」の組織内候補として民進党公認で出馬、初当選、③国民民主から出馬した2022年参院選で落選──という経歴の人物。

岸田政権はかねて国民民主の自公連立政権への取り込みを模索してきたとされるだけに、こうした経歴を持つ矢田氏起用を自公国連立構想実現への布石とする思惑は隠せない。その一方で、次期衆院選をにらみ、野党分断とも合わせて民間労組を国民民主から引きはがす「選挙戦略」との指摘もある。

さらに「自民執行部と玉木雄一郎国民民主代表との秘密協議を踏まえたもの」(官邸筋)との見方もあるが、いずれにしても今回の矢田首相補佐官任命が「政権と国民民主に連合も絡んだ複雑な駆け引きの結果」であることだけは間違いなさそうだ。

矢田氏は「民間人の立場」を強調

岸田首相は9月15日、首相官邸で、元国民民主党参院議員で現パナソニック社員の矢田氏と会談し、賃金・雇用担当の首相補佐官に任命した。矢田氏は会談後、記者団から3党連立構想との関連を問われると「ちょっとそこは関知をしていない。一民間人としてあくまでもお引き受けをした。働く人の声を国政にしっかりとつなぎたい」などとあえて民間人の立場を強調してみせた。

矢田氏は直前の8日まで国民民主の顧問も務めていたが、任命時は「パナソニックの社員で完全な民間人」となっていた。このため官邸サイドは首相補佐官起用について「国民民主や連合とは関係ない」と説明。ただ、官邸関係者によると「事前にパナソニックを通じて連合側に矢田氏起用を伝えた」としており、「連合も“了解”のうえでの人事」との見方も出ている。

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