「矢田・首相補佐官」に見る"岸田流したたか戦略" 露骨な連合分断作戦、自公国連立の布石にも

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その一方で、玉木・国民民主代表は記者団に「矢田氏はこれまで仲間としてやってきたので、これまでの経験や知識を生かして頑張ってほしい。エールを送りたい」とあえて歓迎してみせた。

ただ、玉木氏の言動とは裏腹に国民民主内には「自民がわが党に露骨に手を突っ込んできた。玉木氏は連立政権入りに意欲的だが、結局は自民に使い捨てにされるだけ」(閣僚経験者)との不安や反発が少なくない。

各党の賛否交錯、無党派層は賛否拮抗-世論調査

こうした関係者にさまざまな反応が交錯する中、茂木自民幹事長は9月19日の役員会後の記者会見で矢田氏について「私もよく存じ上げている。労働問題に精通しており、これまでも活発に政策提言をおこなってきた方だ」としたうえで「岸田政権が目指す構造的な賃上げなどについて知見を生かし、さまざまな政策を前に進めてもらうことを期待したい」と語った。

今回の「矢田首相補佐官」人事についてFNNの世論調査では賛否が交錯している。自民、公明、国民民主の各党を支持するそれぞれの有権者の反応をまとめると「自公連立に国民民主が参加することに賛成4割、反対4割」と賛否が真っ二つに分かれた。

これを支持政党別でみると、自民支持層では「賛成」52.1%が「反対」32.8%と賛成が過半数。しかし公明支持層では「賛成」28.2%、「反対」42.5%と反対多数で、同党の警戒感の強さが表れている。

一方国民民主支持層は「賛成」60.0%、「反対」36.3%と賛成多数だが、立憲民主支持層は「賛成」24.8%、「反対」57.1%、維新支持層でも「賛成」24.4%、「反対」60.9%とどちらも反対が大きく上回っている。さらに「無党派層」は「賛成」39.4%、「反対」41.9%と賛否がほぼ拮抗した。

一躍注目の人となった矢田氏は21日、自民の麻生、茂木両氏らと面会し、双方が笑顔で懇談した。さらに矢田氏は国民民主の玉木氏とも意見交換し、玉木氏からの「思う存分頑張ってほしい」との激励に「戸惑うことも多いが頑張る」と応じた。ただ、「権謀術数が蠢く政界だけに、矢田氏が活躍できるかはまだまだ未知数」(自民長老)との声は少なくない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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