海外記者が見た「日本のジャニーズ報道の異常さ」 「弱きを挫き、強きを助ける」歪みまくった構造
「本当の物語は、彼の被害者たち、そしてBBC、保健省、保守党、カトリック教会、警察、地方議会、名誉毀損法がいかに被害者らを失望させたかである。(中略)政治、王室、放送、教会、医療、慈善など、イギリスの体制がまばゆいばかりの盾を提供した怪物だったのだ」。同じことが、今日の日本のメディアや社会全体にも言える。
23年前にNYTが報道してた不都合な真実
日本でも以前から勇気を持ってジャニー喜多川の行為の暴露を試みた人や、メディアがあった。『週刊文春』は、雑誌の評判と財務を危険にさらして喜多川の行為を報じ続けた。この時、文春の報道や、日本のメディアの姿勢について報じているのがアメリカのニューヨーク・タイムズ紙だ。
同紙は2000年1月30日付の記事で、文春の報道にもかかわらず、日本のメディアが同件を扱っていない理由を報じている。同記事では日本の芸能記者が、「ジャニーズ事務所に従わないと、ジャニーズの人気タレントを番組に出させてもらえず、バラエティ番組の視聴率が下がる」「出版社も同じだ」と語っている。
また、同記事ではニューヨーク・タイムズ紙の記者が、文春の記者帯同のもと、被害を訴える1人のほか、喜多川の弁護士、矢田次男にも取材(ジャニー喜多川にも取材依頼をしたが断られている)。この時矢田は、依頼人に対する性的虐待疑惑は「完全なでっち上げ」であり、「ジャニー喜多川氏は素晴らしい評判を持つ善良な人物であり、誰も掲載された嘘を信じていない」と語っている。
今回、改めて矢田に報告書についてコメントを求めたところ、「(コメント)できない」と回答。ニューヨーク・タイムズ紙による取材は覚えていないが、「当時そう答えたならそう考えていた」とするが、現在については「答えられない」と話した。
ニューヨーク・タイムズ紙は同年4月1日に、自民党の阪上善秀議員(当時)が、「少年問題に関する特別委員会」で喜多川に関する性的虐待に対して厚生労働省などに意見を求めたことを報じている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら