海外記者が見た「日本のジャニーズ報道の異常さ」 「弱きを挫き、強きを助ける」歪みまくった構造

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

いずれにせよ、次なるジャニー喜多川や、統一教会の創始者、文鮮明ではないだろう。メディアは不倫をした有名人を容赦なく攻撃する。それなのに、有名人が何百人もの子どもに対して性加害したことはスルーするのか。

発展途上国においては報道の自由が保障されていなかったり報道の質が高くなかったりするために、自国の出来事を理解するために先進国のメディアに頼らざるを得ないことが多い。

これと同じことが日本でも起きた。3月にイギリスのBBCのドキュメンタリー番組で日本語を話せないイギリス人ジャーナリストがジャニー喜多川の行為を暴露したことで、多くの人がようやく実態を把握し、目を背けることができなくなったのだ。

報告書が「解明しなかったこと」

今回、林眞琴氏率いるジャニーズの再発防止特別チームが、報告書でジャニー喜多川の60年にわたる性加害の実態を最も生々しい形で暴露したことは評価されるべきである。下は8歳から14、15歳の少年たちが触られたり、肛門性交を促されたりしたことは地獄の旅としか言いようがない。

だが、報告書では”喜多川システム”が完全に解明されることはなかった。つまり、誰が彼に少年たちを提供したのか? 誰が被害者を黙らせたのか? 誰が? 誰が? メディア業界でこのことを知っていて、しかも、報じずに無視したのは誰なのか? 子どもたちの魂が殺され、夢が打ち砕かれたにもかかわらず、国民全体が見て見ぬふりをできたのはなぜか? こうした疑問は未解決のままである。

今回の報告書は、イギリスの連続性犯罪者ジミー・サヴィルを想起させる。サヴィルは、喜多川とほぼ同時期に何百人もの人々に性的暴行を加えた人気司会者である。2022年の『ガーディアン』紙の記事で、元BBC記者のマーク・ローソンは、サヴィルの疑惑に対してイギリスのメディアと権力が消極的だったことを認めている。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事