有料会員限定

調査能力が不足、証取監視委・検察の痛恨黒星 「市場の番人」の監視委員会の看板が泣く

✎ 1〜 ✎ 12 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 15
拡大
縮小

証券監視委が摘発したものの「課徴金取り消し」が相次ぐ。調査能力の低下が指摘されている。 

金融庁の看板
(写真:小野真志 / PIXT)

特集「弁護士・裁判官・検察官」の他の記事を読む

司法試験の受験者数が激減。弁護士は「食えない」「AIが代替する」と敬遠され、若き裁判官の離職が相次ぎ、検察官は供述をねじ曲げるーー。『週刊東洋経済』の9月4日(月)発売号(9月9日号)では、「弁護士・裁判官・検察官」を特集。実態とともに、司法インフラの瓦解の足音をお伝えする。
週刊東洋経済 2023年9/9特大号(弁護士・裁判官・検察官)[雑誌]
『週刊東洋経済 2023年9/9特大号(弁護士・裁判官・検察官)[雑誌]』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

「これまで以上に成果を上げられるよう運営を進めていきたい」

昨年12月に証券取引等監視委員会(監視委)の委員長に着任した中原亮一氏は就任時の会見でそう抱負を述べた。中原氏は東京地検特捜部長や福岡高検検事長を歴任した人物だ。

監視委はその名のとおり証券市場の監視を行うための組織で金融庁に属している。だが、歴代の委員長は検察の要職経験者で、実態はさながら「検察庁の出張所」のようだ。

監視委の誕生は1992年にさかのぼる。金融犯罪や不公正取引の増加に対して、専門の調査機関が必要との世論が背景にあった。

しかし当時の大蔵省には刑事事件の捜査を行うノウハウはなく、検察庁の検事や国税庁の査察経験者などを出向で多数受け入れた。これは現在も続いており、検察から多くの人員を受け入れている。

告発するかは検察次第

次ページインサイダー不成立で課徴金処分取り消し
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
弁護士・裁判官・検察官
「食える?食えない?」揺らぐ文系エリート
法務省が弁護士法との関係でガイドライン公表
受検者の2人に1人が合格する時代に突入
学部の専攻は薬学、金属工学、航空宇宙、農学
20代、30代、40代弁護士「誌上覆面」座談会
有力弁護士2人に聞く理想の弁護士像
専門職の判断が不可欠、効率化の有力ツールに
弁護士の出世パターンとお金のリアル
弁護士とは収入格差。職場環境にも恵まれず
「ヒラメ裁判官」はどうして生まれるのか
裁判官の出世パターンとお金のリアル
初公判4日前に起訴取り消した大川化工機事件
無罪確定のプレサンスコーポレーション事件
「市場の番人」の監視委員会の看板が泣く
検察官の出世パターンとお金のリアル 
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内