証券監視委が摘発したものの「課徴金取り消し」が相次ぐ。調査能力の低下が指摘されている。
司法試験の受験者数が激減。弁護士は「食えない」「AIが代替する」と敬遠され、若き裁判官の離職が相次ぎ、検察官は供述をねじ曲げるーー。『週刊東洋経済』の9月4日(月)発売号(9月9日号)では、「弁護士・裁判官・検察官」を特集。実態とともに、司法インフラの瓦解の足音をお伝えする。
「これまで以上に成果を上げられるよう運営を進めていきたい」
昨年12月に証券取引等監視委員会(監視委)の委員長に着任した中原亮一氏は就任時の会見でそう抱負を述べた。中原氏は東京地検特捜部長や福岡高検検事長を歴任した人物だ。
監視委はその名のとおり証券市場の監視を行うための組織で金融庁に属している。だが、歴代の委員長は検察の要職経験者で、実態はさながら「検察庁の出張所」のようだ。
監視委の誕生は1992年にさかのぼる。金融犯罪や不公正取引の増加に対して、専門の調査機関が必要との世論が背景にあった。
しかし当時の大蔵省には刑事事件の捜査を行うノウハウはなく、検察庁の検事や国税庁の査察経験者などを出向で多数受け入れた。これは現在も続いており、検察から多くの人員を受け入れている。
告発するかは検察次第
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