入学定員削減や、学部と大学院を最短5年で終える「法曹コース」の開設などで改善の兆しが出てきたロースクールだが、油断は禁物だ。
法科大学院(ロースクール)が開設されて20年目。そのロースクールを柱とする法曹養成制度が岐路に立たされている。
合格率3%程度と超難関だった旧司法試験に対して、新司法試験は合格率45.5%(2022年)と半数近くが合格する試験となっている。
ロースクールの教授や弁護士からは「かつては合格できないレベルの人が受かるようになり、下位合格者の中にはひどい準備書面を提出する人も」という声も聞かれる。なぜこのような事態を招いたのか。
00年代初頭、政府は法曹需要が量的に増大、質的に多様化・高度化していくとの見通しを示した。法曹に必要な学識と応用能力、実務の基礎的素養を養うためのロースクールが設けられ、10年までに年間3000人の司法試験合格を目指す方針が掲げられた。
ロースクール修了生の合格率は2割台まで下降
法学の既修者は原則2年間、未修者は3年間ロースクールで学び、修了すれば新司法試験を5回まで受験できる。修了生の司法試験合格率は7〜8割と想定されていた。
新司法試験初年度の06年、修了生の合格率は48.3%だった。しかしその後はだんだん下降し、09年から19年までは2割台で推移。合格者数も08年に2000人を超えた後は、当初方針の3000人に達することがないまま、15年に1500人へと下方修正された。
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