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SMBC日興「相場操縦事件」は全被告が無罪主張貫く 検察は「歴史的に見ても突出して悪質な事案」と指弾

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2022年春の起訴から3年。長期にわたった裁判がいよいよ大詰めを迎えている。

東京地裁
初公判は2023年5月。東京地裁での審理では24人もの証人が召喚された(記者撮影)

特集「SMBC日興『相場操縦事件』の終着点」の他の記事を読む

SMBC日興証券の相場操縦事件。会社としては社長自らが出廷し罪を認めた一方、裁判が続く5人は全員が無罪を主張している。3月6日に検察による論告求刑が終わり、裁判は大詰めを迎えている。
約3年にわたる裁判の傍聴記録と専門家、関係者への取材を踏まえて、事件の全貌を明らかにしていく。

【今後の配信予定】
3月19日(水)SMBC日興の事件は「自己売買の目的」が最大争点

3月24日の週以降
相場操縦が疑われた「10銘柄」取引の全実態
有罪・無罪の分かれ目?「共謀」成否の大論点
前代未聞の相場操縦「特捜」事件が残した禍根

「大手証券会社の幹部である被告人らが、組織ぐるみで市場をほしいままに操作した事案で、国内外に及ぼした影響は計り知れず、歴史的に見ても突出して悪質な事案」――。

東京地方裁判所の104号法廷に検察官の声が鋭く響いた。

3月6日、SMBC日興証券の相場操縦事件の公判が開かれた。起訴から約3年。24人もの証人を召喚した審理はこの日で58回を数えた。午前10時に開廷され、検察官が事件について最終的な意見を述べる論告と求刑を行った。

2度の休憩を挟み午後4時すぎまで続いた検察官による朗読は、被告らを激しく糾弾する内容だった。

この裁判で金融商品取引法違反の相場操縦を問われているのは、元副社長などSMBC日興幹部だった5人だ。5人の被告は2022年3月に逮捕され、もう1人を合わせた計6人と法人としてのSMBC日興が起訴された。

「事件の中心人物」に懲役4年を求刑

このうち元副本部長1人とSMBC日興は罪を認め、2023年2月に有罪判決が確定した。SMBC日興には罰金7億円と追徴金44億円強が科された。一方、罪を認めなかった5人の公判は同年5月に始まった。

最も厳しい求刑となったのは、検察官が事件の「中心人物」とした山田誠・元エクイティ部部長だ。懲役4年を求刑した。

山田氏の上司でエクイティ本部長だったヒル・トレボー・アロン氏と、さらにその上司の佐藤俊弘・元副社長には懲役2年6月を科すべきだとした。

エクイティ本部の副本部長だったアヴァキャンツ・アレクサンドル氏と、エクイティ・プロダクト・ソリューション部の部長だった岡崎眞一郎氏には懲役2年を求刑した。

SMBC日興証券の相場操縦事件の求刑内容
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