頑張った自分への「ご褒美」脳にもプラスに働く訳 「報酬系」という脳の神経ネットワークが活性

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一方で、豊富な成功体験を積み重ねてきた人は、自分で高い目標を立てた場合も、会社から厳しいノルマを課せられた場合も、「達成できる未来」を予測できるので、やる気が上がります。

このように、経験値や能力により適正な目標の高さは異なるわけです。

では、目標を低く設定すれば、達成できる未来を予測できるため、やる気が上がるのかというと、それも正しいとはいえません。目標が低いと簡単に達成できてしまうため、脳が「やる気を出すまでもない」と判断してしまうからです。

やる気が上がるのは、「やってみないとわからないけれど、おそらくうまくいきそう」な目標です。クリアできたときの喜びは大きく、自身の能力アップを実感することができるでしょう。

仮にうまくいかなかったとしても、「もう少し目標を低く設定すれば、次はいける!」という学びを得て、再チャレンジへの意欲が高まるはずです。

目標設定を誤ると、人のモチベーションは簡単に下がってしまうものです。頑張ればクリアできそうな目標を設定して、やる気を上手にコントロールしましょう。

目標を達成したら自分にご褒美を

目標を達成したら、自分に「ご褒美」をあげる人も少なくないと思います。頑張ったらぜひ自分にご褒美をあげてください。脳が喜び、やる気が上がります。

脳はご褒美を受け取ると、なぜ喜ぶのでしょうか? それは脳内の「報酬系」という神経ネットワークと関係があります。

報酬系とは簡単にいえば、脳の中の快感にかかわる神経系で、喜びや達成感を得ると活性化され、ドーパミンを分泌します。仕事がうまくいったりすると、まるでご褒美(報酬)をもらえたかのように爽快感を覚えますが、それはこのためです。

脳は「喜び」や「気持ちよさ」を再び味わいたいため、同じ行動を再現しようとします。つまり、目標達成につながる行為が習慣化されていくわけです。

ちなみに、脳内の報酬系の仕組みは、人間がまだ狩猟生活をしていた時代に、獲物や繁殖の相手を見つけ、それに向かって体を動かすために発達した神経系で、非常に強い力を持っています。

これがネガティブに働くと、アルコール依存や薬物依存、ギャンブル依存といった脱け出しにくい依存症の原因になるので注意が必要です。もちろん、目標を達成した際のご褒美程度では依存症の原因になりませんので、安心して自分に報酬を与えていきましょう。

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