「中国が強める反日」処理水放出に"大反発"の背景 「尖閣問題以来の日本叩き」との現地の声も

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この数日、多くの自治体が「個人でできる汚染防止指南」を発表している。

福建省泉州市のガイドラインには「泳いだり海に潜る時間をなるだけ短くしよう」「野菜や果物、穀物の摂取量を増やすなど、口に入れるものを多様化して汚染リスクを下げよう」「雨に濡れないように注意し、汚染エリアの天気予報や風向きをチェックしよう」と、科学的根拠が疑わしい文言が並ぶ。

ガイドラインは最後に「理性的、科学的な態度を保ち、根拠のない噂や情報を避けるように」とも呼びかけている。

国民の不満をそらそうとしている?

「根拠を」と言いながら、煽情的な呼びかけが官によってなされ、SNSで拡散される。中国で会社を経営する日本人男性(50代)は、「不動産市況が悪く、失業率も高い。中国の経済がガタガタなので、中国政府は日本という仮想敵をつくることで国民の不満をそらそうとしているのでは」と推察した。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
Twitter: @sanadi37

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