「中国が強める反日」処理水放出に"大反発"の背景 「尖閣問題以来の日本叩き」との現地の声も
中国人の「敵意」には、現地での報道のあり方が大きく関係している。政府の発表や報道記事では「処理水」ではなく「汚染水」という言葉が使われ、日本政府や東京電力の「放出水に含まれるトリチウム濃度は基準値を大きく下回っている」との説明は、著名大学の教授や海洋法学学会の会長など権威ある専門家から、「海中を漂う海藻には影響があり、海藻を餌にしている魚やえびの体内に有害物質がたまる可能性がある」「放出された汚染水は10年後には世界中に広がる」などとことごとく否定されている。
筆者が今年6月末に中国を訪れたとき、30代の中国人女性に「日本、汚染水やばいじゃん」と言われた。その頃にはすでに、中国政府やメディアがキャンペーンを展開していたわけだ。
日本に長年住んでいた友人は、日本のメディアがファーウェイなど中国企業の報道をする際に「双方の主張を平等に報道するべき」と話していたにもかかわらず、中国での報道をそのまま受け入れていた。
人間の生存本能は、「安全」よりも「不安」を強調する情報を好むのかもしれない。しかも中国での報道は専門家のもっともらしい解説がちりばめられ、一方で、自国の原発が放出するトリチウムについての情報は排除されている。
はま寿司も釈明投稿
中国政府が日本から海産物の輸入を停止し、水産加工品の取引も禁止したことで、最も打撃を受けるのは日本料理店や日本の食品メーカーとみられる。
実際のところ、大衆向けの日本料理店で取り扱っている魚のほとんどは日本以外から調達しており、日本からの仕入れを強調している高級店でも、中国税関当局が日本からの輸入海産物の放射性物質の検査を強化した7月以降、供給源の切り替えが進んでいるという。
より深刻なのは風評被害だ。高級日本料理店の多くがSNSで「当店は日本産の海産物を使っていません」と表明し、はま寿司も26日にSNSの公式アカウントで「日本産の使用を停止」などと、主要商品の産地を明示する発表文を出した(28日現在は削除されている)
嫌がらせ防止のためか、店頭に表示している店の名前の「日本」の文字を隠して営業する日本料理店の画像もSNSで拡散した。
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