世界が認める「和紙」は、こんなにもスゴい! 無形文化遺産に選ばれた伝統工芸の神髄
和紙は世界一長持ちする紙と言われ、実際に奈良の正倉院には1260年前に作られた和紙が当時と変わらず残っているほどだ。これは西暦756年、奈良時代に書かれた「国宝珍宝帳」という天皇の遺品の目録である。
和紙は木の繊維を残したまま、それを絡み合わせて作るので、より丈夫なつくりとなる。自然素材だけを使うので化学薬品でくっつける必要もなく、1000年以上たっても劣化しない。
職人技で作られる和紙
ユネスコ無形文化遺産にも登録された、和紙の細川紙とはどのように作られているのだろうか? そもそも和紙と普通の紙は何が違うのだろう?日本人なら、和紙のつくり方を一通りは知っておきたいところだ。
そもそも、和紙とは木の繊維残したままを分解し、それを固めて作るもの。その中でも、楮(こうぞ)と言われるクワ科の木は、強い繊維を持つ。細川紙づくりでは、この楮を原料に用いる事で、丈夫な紙をつくることができる。
細川紙づくりの工程は大きく3つある。
② 叩解(こうかい)
③ 紙漉き(かみすき)
皮はぎでは、文字通り切り取った細川紙の皮をむいていくのだが、この単純とも思える工程にも細川紙の秘密が隠されている。
木を全部使わずに表面の部分をはいで、茶色い部分のみを取って中の白い部分のみ使う。細川紙の原料となるのは、この白い靭皮繊維(じんぴせんい)と呼ばれる部分だけ。この部分はとても丈夫なため、指で強く押してみても切れることがない。
次に行うのが繊維を柔らかくする「煮熟」と呼ばれる作業工程。原料となる靭皮繊維を2時間煮て、1日寝かせる。その後、まる2日天然水にさらす。
ここで大変なのは、綺麗な和紙をつくるため繊維に残った削り残しなどを取り除く作業。これを1本、1本すべて手作業で行っていくのでとても手間ひまがかかる。
2日かけて水にさらした繊維はとても柔らかくなる。最初の状態と比べてみれば、その差は歴然だ。