世界が認める「和紙」は、こんなにもスゴい! 無形文化遺産に選ばれた伝統工芸の神髄
実は和紙の色は、天然水にさらす時間で決めている。水にさらす時間が短いと素材に近い色合いの和紙に。時間が長いと繊維の色素が落ちてより白い和紙が完成するのだ。真っ白な和紙を作るため、2週間以上水にさらすこともある。そして、さらにこの繊維を1時間以上かけて棒で叩いて柔らかくしていく。
細川紙が長持ちする理由は“トロロアオイ”
細川紙と普通の紙の大きな違いは、紙漉き(かみすき)の作業中に使うある天然素材によって出てくる。それが、トロロアオイだ。細川紙では、このトロロアオイというオクラの仲間の植物を糊として用いる。この植物は、水に入れると強い粘液が出る。
普通の紙では、繊維を固めるのに化学薬品で繊維を固めるのに対して、細川紙ではこの粘液を糊として用いる事でより丈夫で長持ちする紙となるのだ。
水槽の中に、柔らかくした繊維を入れてかき混ぜ、さらにトトロアオイの粘液を入れれば、いよいよ紙漉きの作業となる。おそらく多くの人が目にしたことがあるこの作業風景。ただ縦方向に揺らしているように見えるが、実は縦方向の波と横方向の波が同時に発生している。こうすることで木の繊維が複雑に絡み合い、より丈夫な和紙が出来る。
その後、水分を抜いて乾燥させれば……職人が1週間以上掛けて作った和紙細川紙が完成する。手間ひま掛けて作られる細川紙には、職人達の想いとこだわりがある。この文化も技を受け継ぐ若い世代がいなければ続いていかないことは確かだ。「クールジャパン」と声をあげる前に、今一度、日本の伝統文化と向き合ってみるべきではないだろうか。
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