会いたい人にまた会うための「貸し」の作り方 貨幣経済的に「交換」できないことに価値がある

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本書では、イベントを通して慈善事業をやっていきますが、みんなこんな簡単にお金を出資するものなのかと思います。でもこれが、アメリカのノーブレス・オブリージュなんですよね。

1990年代終わり頃から、日本の起業家文化もかなり変わってはきました。しかし、やはり、金なんです。

本書の舞台より少し前の2005年~2006年頃、日本では、今の団塊ジュニア世代から、社会貢献をしたいという起業家が現れます。でも、ビジネスモデルとしてうまくいきませんでした。

そして登場したのが、ゲームのプラットフォームです。軒並みソーシャルゲーム事業へと移行していきました。

ものすごくお金が儲かるわけですが、ガラケーでゲームをやっているのはほとんどが貧困層です。そういう人たちからお金を搾取しているのが、ソシャゲの会社というわけです。スタートアップのイベントでは、成功者たちが、どれだけ大儲けしたのかを自慢していました。

アメリカでは社会への価値の還元を重視

その頃、シリコンバレーでは、お金儲けだけではなく、ちゃんと社会に価値を還元しなければダメだと語られるようになっていて、日本とアメリカではずいぶん差があるなと思いましたね。

日本は、今も同じです。例えば、暗号資産については、いかに価値があるかというお金儲けの話しかしません。それが社会に普及することで、どういう価値を与えられるのかという議論を誰もしないのです。

社会起業を目的とする人は現れてはいますが、大企業として巨大化しているところはあまりないですね。日本には、エリオット・ビズノーのような人物は思い当たりません。

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