中国人が「日本の医療」を爆買い?関心高まる背景 巨大ECアリババが日中医療ツーリズムに参入
コロナ禍の間に感染予防を起点にした健康志向が高まり、天猫国際のプラットフォームでヘルスケア商品が伸び続けていることから、予防医療の質の高さに定評がある日本の医療事業者の出店が第一号となった。
越境ECプラットフォームでのサービスの取り扱いはモノよりも複雑で、さまざまなハードルがある。それでも参入する背景には、中国人の消費が成熟し「コト消費」にシフトしていることがある。
昔と同じ「爆買い」はもう来ない
コロナ前には中国人旅行者の「爆買い」が日本の商業施設を潤し、自治体が大勢の中国人を一度に運んでくるクルーズ船の誘致合戦を繰り広げたが、趙氏は「以前と同じ形の爆買いはもう起きないと考えています」と語った。
「以前は日本でしか買えない商品が多かったから、日本旅行中に買い逃さないよう一生懸命でしたが、コロナ禍の間に越境ECがかなり整備され、中国からいつでも買えるようになりました。旅行者の多くは単純な買い物ではなく、日本でしかできない体験に向かうでしょう」
もちろん、サービスの中でも医療はよりセンシティブで、ハードルが少なくない。最もわかりやすいのは言語の壁で、筆者の友人が「クリニックについてきてほしい」と相談してきたのも言語面の不安からだろう。モノは気に入らなかったり品質に問題があれば返品できるが、医療サービスはそうもいかない。
そのためアリババはテストマーティングとしてキットを使ってがんリスクを診断するスクーリング検査で医療ツーリズム事業に着手する。9月に第一陣として出店するHIROTSUバイオサイエンスの場合、天猫国際の店舗でがんの一次スクリーニング検査キットを購入した中国の消費者にキットを発送し、日本旅行中に採尿して都内の指定場所に提出してもらう。検査結果は数週間後にオンラインで閲覧できるようにする。
アリババは今後、人間ドック、遺伝子検査、ワクチン接種といった予防医療分野の医療事業者を誘致し、順調であれば今年末から来年にかけて、美容医療分野にステップを進めたいという。
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