元国税調査官が語る「寺の税金」坊主丸儲けの理屈 一般の人にも応用可能な税金を抑える方法とは

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このように、けっこう豊かな経済生活を送っている住職たちだが、では税金をどのくらい払っているかというと、これが本当に微々たるものなのである。

先に述べたように、寺の住職というのは税務上、「寺という宗教法人に雇われた従業員」という扱いになる。つまりはサラリーマンなわけだ。そして、住職は寺から給料をもらっているという建前になっており、この給料は普通のサラリーマンと同じように税金が源泉徴収されるのである。

フリーターより税金が安いという住職も

この源泉徴収される税金というのは、給料の金額に応じて決められる。給料が多ければ源泉徴収額も多いし、少なければ少ない。そして住職というのは、名目上の給料は非常に低いのだ。

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というのも、住職の生活費全般は寺の経費で賄われるからだ。住居から光熱費、自動車まで寺のお金で整えられる。友達と飲みに行った費用も、交際費として寺のお金で支払われていることもある。

となると、住職自身がもらう給料というのは、少なくて済むわけだ。ほんの小遣い程度の給料であっても、生活は十分に成り立つし、平均以上の生活が送れるのだ。

小遣い程度の給料しかもらっていないということになっているので、必然的に税金も非常に安くなる。フリーターよりも税金が安い、という住職もたくさんいる。生活費全般を誰かに出してもらうことで、自分の給料自体は低く抑え込み、税金を安くするのである。

しかし、この住職のスキームは一般の方にも応用が可能なのである。実際に企業の経営者や資産家などでも、自分の名目上の収入は低く抑え込んで税金を極力安くしている人はかなりいる。

大村 大次郎 元国税調査官

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おおむら おおじろう / Ojiro Omura

国税局に10年間、主に法人税担当調査官として勤務。退職後、ビジネス関連を中心としたフリーライターとなる。単行本執筆、雑誌寄稿、ラジオ出演、『マルサ!!』(フジテレビ)や『ナサケの女』(テレビ朝日)の監修等で活躍している。ベストセラーとなった『あらゆる領収書は経費で落とせる』をはじめ、税金・会計関連の著書多数。一方、学生のころよりお金や経済の歴史を研究し、別のペンネームでこれまでに30冊を超える著作を発表している。『お金の流れでわかる世界の歴史』は「大村大次郎」の名前で刊行する初めての歴史関連書である。近著に『税務署対策 最強の教科書』『「土地と財産」で読み解く日本史』。

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