元国税調査官が語る「寺の税金」坊主丸儲けの理屈 一般の人にも応用可能な税金を抑える方法とは

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よくテレビ番組などでも、地方の古い寺の住職がありがたい話を聞かせた後、高級車で芸能人をどこかに案内する様子が出てきたりする。そういうのを見て、違和感を覚えた人も多いはずだ。なぜ寺の住職が高級車に乗ることができるのか、と。

そもそも寺の住職は、経済的に非常に恵まれている。住職の住居は寺の中にあるので、住居費はほとんどかからない。普通のサラリーマンであれば、自分の給料から賃貸住宅の家賃を払ったり、購入した家のローンを払ったりする。その給料には当然、税金が課せられている。つまり税金を払った残りの給料で、住居費を賄っているのである。

しかし住職の場合、寺に備えられた住居は無料であり、税金も課せられない。「寺に住むのは宗教活動の一環」とみなされ、非課税とされているのである。

そして、もし住居に不具合があれば、寺のお金で修繕したりできる。家具などの調度品も、寺の金から出すことができるのである。日々の生活でも、光熱費などは、お寺と同じ建物なので、相当部分は寺の金で出しているものと思われる。

食べ物も檀家からもらったりするものもけっこう多いので、普通の人よりは食費は安い。また車なども、住職が乗っている車のほとんどは寺の金で買ったものである。高級車なども、実は寺の金で買ったものであり、住職は一銭も払っていないのである。つまり、住職の生活の大半は、寺のお金で賄っているのである。

お布施などによる収入もけっこう多い

そして、寺というのは、けっこう収入が多いものなのである。

信心深い檀家ではないごく「普通の家」でも、年に数回は法事などをする。1回あたりだいたい5000円以上のお布施がもらえる。1つの檀家から年間数万円の収入を得ることができるのである。檀家が200人もいれば、定期的な法事だけで、300万~400万円の収入が得られる。

さらに、お葬式という臨時収入もある。葬式のお布施や戒名などは、普段のお布施よりも1、2桁違ってくる。それらの収入を合わせれば、檀家が200人もいれば十分にやっていけるのである。地方の辺鄙な寺の住職が、ベンツに乗っていたりするのは、このためなのである。

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