人生を変えるちょっとした「隙間時間」の重要度 時間と空間における「聖域」をつくりだすコツ

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彼女は今日、エクスプラネーション・キッズ(ニュースに出てくる世界の出来事や問題について子どもたちが抱く大きな疑問への、年齢にふさわしい答えを提供するスタートアップ)の創業者・CEOとして、自分の聖域を意識的に守るよう、取り組み続けている。

ミシェルは学生時代から、「リアリティ・チェック」にスプレッドシートを使い、自分の1日にいつ静けさのための時間を見つけられるか調べてきた。

スプレッドシートのセルの1つひとつが午前5時から午後10時までのどこかの、15分の時間区分を表している。

彼女はまず、自分の役職に伴う主な責務や、母親への定期的な電話、食事など、しなければならないことを入力し、それからセルフケアなど、やりたいことも少し入力する。それからゆったりと座り、自分のスケジュールを点検すると、実際、「隙間時間」が必ず見つかる。

そうした「隙間時間」は、いちばん仕事から守りやすい。だから彼女は毎朝、聖書や心を動かされる引用を読む時間を少しだけ確保する。その後、静かに観想する。本人の言葉を借りれば、「神に私の心を支えてもらえるように」。その後、1日の仕事に取り掛かる。

エクセルのスプレッドシートは普通、静けさの感覚を呼び起こしたりはしない。だがミシェルにとって、特にホワイトハウス時代以降、そのスプレッドシートは自分の聖域の境界を定めるツールになっている。人は、他の重要な用事と同じように静寂の時間をカレンダーに確保することができる。

「聖域」の重要性

アメリカの元国務長官ジョージ・シュルツは在任中、毎週1時間の枠を決め、そこには絶対に何の会議も約束も入れなかった。そしてその時間には、ペンと紙だけを用意してただ座り、何であれ頭に浮かぶことについて考えた。秘書には、電話はすべて取り次がせなかった。「妻か大統領のどちらかからでなければ」

私たちは何十回ものインタビューを行っている間に、時間と空間の両方における聖域の重要さについて、何度となく聞かされた。

多くの人が「朝のマインドセット」を守ろうとする。日の出前に、他者の心のインプットを受けずに済む、純粋な注意のスペースを維持しようとする。心を空にし、意識の中に残っている騒音を取り除く手段として、1日の終わりに静かな時間を取り、それを神聖なものとして大切にする人もいる。

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