炎上「バービー」日本人も見る価値アリと言える訳 「理想の女性」含めポリコレの監視の中どう描いたか

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問題になったのは、バービーの公式X(Twitter)アカウントが、これらの投稿に反応をしたことだ。

大きく問題にされたのは公式アカウントが、バービーの髪型がきのこ雲になっている画像に「ケンはスタイリストですね」と投稿したこと、原爆をイメージしたファンアートに対してハートマーク付きで「忘れられない夏になりそう」と投稿したことに対してである。

この対応が問題だったのは明白だが、公式アカウントの運営者が、原爆問題が日本人にとって非常にセンシティブな問題であることに思い至らなかったこと、SNSの盛り上がりに条件反射的に対応してしまったことが背景にあると思われる。

原爆と重ねたファンアートが問題なのはもちろん、アメリカ本社の対応はかなり軽率であるが、この問題だけを切り出して、アメリカ人全体が「日本人を侮辱している」「原爆投下を正当化している(あるいは軽く扱っている)」とまでするのはやや極端かもしれない。

過去のアメリカ映画は日本人に対して偏った描き方をしているものが多く見られたが、最近はかなり配慮されるようになっている。原爆投下に対しても「間違っていた」と考えるアメリカ人も増えているように感じる。それだけに今回の一件は残念だったともいえる。

求められる「他国への政治的配慮」

原爆以外の理由だが、実は日本以外でも映画『バービー』は問題になっている。

ひとつは、作品の中に登場する世界地図の中で、中国が主権を主張する南シナ海の領域を示す「九段線」らしきものが描かれており、それがベトナムとフィリピンの2国で問題視されたというものだ。それが要因となり、ベトナムでは本作は上映禁止となっている。

また、レバノンでは、本作が「同性愛を助長する」ことから、イスラム教の宗教的価値観に反する――との理由で上映禁止となっている。

いかに配慮をしても、国家間の歴史・政治・文化の溝を埋めることは難しいのが実態だ。

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