36歳「グラドル兼タクシードライバー」の生き様 月22日勤務、合間にグラビアの個人撮影会をこなす

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番組の反響は周囲の想像以上に大きかった。コンドルタクシーでは、ザ・ノンフィクションを観た芸能人の卵たちによるドライバー募集が殺到しているという。中島さんや先輩ドライバーたちの存在が、同じような道を思い描く若者たちに刺さっているのだ。それでも、中島さんはこんなことも感じている。

「タクシーの仕事も芸能の仕事も甘くないな、ということです。タクシーは、お客様の命をお預かりする仕事なので、責任が重い職業だと思うんですよ。もちろん自由な部分もあって楽しい仕事なんですけど、その分大変なこともあります。

運転は大好きですが、今でも緊張しますし、最短で行かなきゃいけないっていうプレッシャーがあるので。知らない人を後ろに乗せて、話しながら目的地へ向かう。これって、実は簡単ではないんです。タクシードライバーであることも私の武器だし、日々その誇りを持って走るようにしています」

オーディションに落ちても翌日にはケロッと(笑)

中島さんは来年の2月に37歳になる。東京に来てからこれまでの5年間で、いまだ成功を掴んだとは言い難い。芸能活動を続けていくうえでの時間も限られているようにも感じる。改めて中島さんに、「芸能界を諦めることを考える時があるのではないか」と問うと首を横に振った。

「仕事がなくて諦める、ということは絶対にしたくない。それなら最初から東京に出てきていなからです。この世界では、何がキッカケになるかわからない。今もジャンルを問わずオーディションを受け続けていますが、落ちても寝て起きたら次の日にはケロッとしている性格なんですよ(笑)」

タクシーありきの中島由依子です!満面の笑みを浮かべながら力強くそう言い切る中島さんは、今日も東京の街でタクシーを走らせる。

栗田 シメイ ノンフィクションライター

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くりた しめい / Shimei Kurita

1987年生まれ。広告代理店勤務などを経てフリーランスに。スポーツや経済、事件、海外情勢などを幅広く取材する。『Number』『Sportiva』といった総合スポーツ誌、野球、サッカーなど専門誌のほか、各週刊誌、ビジネス誌を中心に寄稿。著書に『コロナ禍の生き抜く タクシー業界サバイバル』。『甲子園を目指せ! 進学校野球部の飽くなき挑戦』など、構成本も多数。南米・欧州・アジア・中東など世界30カ国以上で取材を重ねている。連絡はkurioka0829@gmail.comまで。

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