女優・伊藤かずえの愛車で振り返る日産「シーマ」 バブルで爆発的なヒットを記録した高級セダン

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初代シーマ
1988年に登場した初代シーマ(写真:日産自動車)

初代シーマ(FPY31型)は、前述の通り、バブル経済の真っ最中である1988年に登場した。車名は、スペイン語で「頂上」や「完成」を意味し、その言葉通り、当時の高級車人気、いわゆるハイソカーブームに向けて開発された日産のハイエンド4ドアセダンだ。

対抗馬は、1987年にモデルチェンジしたトヨタ「クラウン」の3ナンバー版(ワイドボディ版)。当時の3ナンバー車は、現在と違い、5ナンバー車と比べて自動車税などがかなり高いことなどもあって、まさに高級車の証しだった。バブル経済により、そうした高価なセダンにも人気が集まったことで、ライバル車のクラウンを打倒すべく開発されたのが初代シーマだった。

車体は、それまで日産のフラッグシップだった「セドリック」や「グロリア」をベースに、全長4890mm×全幅1770mm×全高1380mmという3ナンバー専用ボディを採用した。ちなみに初代モデルの正式名称は、当時の販売系列によって異なっていた。日産モーター店系列向けが「セドリックシーマ」、日産プリンス店系列向けは「グロリアシーマ」と称しており、伊藤さんの愛車は前者となる(2代目から車名はシーマに統一された)。

初代シーマの特徴について

VG30DETエンジン
シーマに搭載されていたV型6気筒のVG30DETエンジン(写真:日産自動車)

エンジンには、国産車で初めてV型6気筒を搭載した。しかも3Lの大排気量とし、200psのNA(自然吸気)エンジン「VG30DE型」のほかに、伊藤さんの愛車であるタイプIIリミテッドなどには、「VG30DET型」とよばれるターボエンジンも搭載した。

とくにVG30DET型は、今でも名機として名高い。日産・レパード(F31型)などにも搭載されたこのエンジンは、最高出力255psを発揮。駆動方式はFR(フロントエンジン・リア駆動)で、発進時などに車体後部を沈めながら猛然と加速するシーマの乗り味は、高級感だけでなく、圧倒的なパワー感も人気を呼んだ。

また、タイプIIリミテッドには、それまでの日本車になかった新しい装備を搭載したことも、大好評となった要因だ。とくに足まわりには電子制御エアサスペンションを採用し、快適な乗り心地を実現した。

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