女優・伊藤かずえの愛車で振り返る日産「シーマ」 バブルで爆発的なヒットを記録した高級セダン
さらに、今ではほぼ見かけることがない自動車電話の設定もあった。これはオプションだったようで、伊藤さんの愛車には装備がないが、リアシートのセンターコンソールに受話器が設置されたほか、ステアリングにダイヤルが付いたハンズフリーフォンを採用した。
当時は、スマートフォンが誕生する前。携帯電話といえば、超大型のショルダータイプなどしかなく、高価だったこともあり、使う人はほとんどいなかった時代だ。そんなバブル期に流行したのが自動車電話で、まさに富裕層だけが持つことを許される超高級品だった。
ちなみにシーマをはじめ、自動車電話を搭載したクルマには、専用のアンテナをトランク上に設置することが多かったのだが、そんなスタイルも大きな人気を呼んだ。当時は、外観だけを真似るために、通信機能を持たない模造アンテナが発売されたほどだ。
高価でも大ヒットした初代シーマ
しかも、初代シーマは、これも先述の通り、価格もかなりハイレベルだった。当時の販売価格で、最も安いグレードのタイプⅠが433万円~439万8000円、伊藤さんの愛車でもある最上級グレードのタイプⅡリミテッドは、510万円~516万8000円だった(当時は同一グレードでも販売地域で価格が異なっていた)。これも、先述したように、当時の車両価格としては高価だったが、それでもまさに飛ぶように売れた。
参考までに、1988年3月3日に日産が発表した広報資料の内容を紹介しよう。初代シーマの発売日は1988年1月18日。その直後の2月度の新車登録台数は5373台を記録。3ナンバーの普通車でトップとなっている。しかも、最も売れたのは、500万円を超える最上級グレードのタイプⅡリミテッドで、全体の81%。また、販売会社によれば、購入者は、「中小企業のオーナーが中心だが、30代の若いユーザーもけっこう多かった」のだという。
なお、これも日産の資料によれば、1998年2月における3ナンバー車の新車登録台数は、全体で約1万6700台。前年同期の約5700台と比べ、3倍近い増加となったそうだ。当時、高級だった3ナンバー車が、いかに多くのユーザー層から支持を受けたのかがよくわかる。
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