スバル、米国生産も表明「EV新戦略」に漂う唐突感 2030年にEV比率5割を掲げたが具体性に疑問符
1つ目は、カリフォルニア州など複数の州が導入する新たな規制だ。自動車メーカーは、新車販売に占めるEVなど環境対応車(ZEV)の比率を2026年に35%、2030年に68%にすることを求められ、満たせなければ罰金を科せられる。
2つ目は、アメリカ環境保護庁(EPA)による新たな排ガス規制案で、自動車メーカーに二酸化炭素(CO2)の排出量の大幅削減を求めるもの。こちらも、自動車メーカーは対応できなければ罰金を科せられる恐れがある。EPAはこうした規制により、2032年に新車販売に占めるEV比率が67%になると見込む。
3つ目は昨年成立したインフレ抑制法(IRA)。北米で最終組み立てしたEVを対象に、電池などの調達基準をクリアしたEVのみ最大7500ドルの税額控除が受けられる。
車載用電池の調達にメド
ただし、これらは5月の説明会時点でも分かっていたことではある。当時、IRAの影響を懸念してアメリカでのEV生産をしないのかという質問に対してスバルは、当面は日本からの生産・輸出でも十分に戦っていけるという見方を示していた。
それが一転、アメリカでEVの生産を決めたのはなぜか。契機になったと考えられるのが、EVに使う車載用のリチウムイオン電池の調達にメドが付いたことだ。
スバルは7月31日、パナソニックホールディングス傘下の電池メーカーであるパナソニックエナジーと電池の供給契約を視野に、中長期的な協力体制の構築に向けた協議に入ったと発表している。
現状、スバルが市場に投入しているEVはまだ1車種。トヨタ自動車と共同開発したソルテラだけだが、こちらの電池調達はトヨタに頼っている。スバルはこれからEVの独自開発も本格的に進めていくとしている。トヨタだけに電池調達を依存していては間に合わないということだったのだろう。
トヨタ資本が入る、いわゆるトヨタ陣営では、マツダも6月21日、パナとEV向け電池の中長期的な供給契約に向けた検討に入ると発表したばかり。スバルとマツダは似たような事情にあるのかもしれない。
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