あまりに辛辣!外国の船が「日本の港」を避ける訳 直行便の消滅が日本企業の地位低下につながる

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シンプルに考えると、ずっと安い商品しか買わない日本という国があって、さらに物量も少ない。でも時間はかかる。そりゃ、そういう国は選ばないでしょう。

日本の凋落としてよく取り上げられるのは大きな港が大半です。しかし東京や横浜など、大きな港は国際コンテナ戦略港湾といって国が力を入れているところなんですね。これらに選択と集中で取り扱いコンテナ数を増加させようとしてきました。

一方で地方港などは無視されがちです。大きな港以上に地方港では取扱量が減少しているところが少なくありません。だから日本全体では想像以上に世界的地位を落としていると言えます。

ビジネスというゲームを、モノを“運ぶ人たち”が左右しています。作っても運べなければ売れないから。モノを作っているユーザー側としたら不便なことばかり。だから日本の荷主たちは苛立っていると思う。

日本の港の凋落をきっかけとして、韓国の港がすごく伸びている。これを危機と感じる日本人があまりに少ない。これこそ、ほんとうの危機ですね」

まっとうな指摘だと思う。

日本がずっと経済成長を続けて諸外国が売りたいと思ってくれる国だったらいい。でも、現実的には人口構成から右肩下がりと予想される。量は縮小していく。しかも長く続いたデフレで諸外国と物価差は開く。日本は諸外国に比べて高い商品を買うわけではない。

日本の海外輸入改善への課題

では、日本が改善するためにどのような課題があるのだろうか。

「日本はとにかく遅い。たとえばアメリカではすぐにバイデン大統領が自国の特定港に操業時間の延長や夜間搬出を依頼しています。また政府としてインフラ改善のためのアクションプランを発表したり、多額のインフラ投資(170億ドル≒2兆2100億円)を成立させたりしています。

くわえて、物流情報の共有のためのプラットフォーム構築をただちに発表しているんですね。きっとサプライチェーンが国力に重要だと考えているためでしょう。でも、日本の行政はそれくらいの切迫感をもってサプライチェーンを改善していますか。

また、たとえば日本の国民同士が『日本には船が寄港してくれていない。これはやばい』といった会話をしていますかね? 誰も興味がない。船が日本の港に来てくれなくなったなんて、日本人のほとんどは知らないのでは。日本は貿易ができないと、ほぼ生活が成り立たないんですけどね」

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