2023年上半期「売れた商品ランキング」近畿版 顕著にあらわれたインバウンド需要の影響

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近畿はコロナ前から訪日観光客から人気だったため、コロナ禍のインバウンド需要の縮小による影響も大きかった。落ち込んだ反動もあったためインバウンド需要関連の商品で前年比が著しく伸びているものの、本格的な回復にはもう少し時間がかかる商品もあるようだ。

前年比だけではなく、2019年比でも目立った伸びが確認できたのが、2位の液体だし。2019年比が575.8%(全国差+410.4ポイント)とコロナ前の6倍近くにまで市場が成長したことがわかる。

液体だし市場を牽引しているのが、北海道産の昆布を使用したもの。近畿では昆布だしが主流であるため、市場が成長する素地があったのかもしれない。とりわけ伸びていたのが、北海道産の昆布を使用した、近畿を中心に展開されている低価格のプライベートブランド商品だ。本格的な商品を手ごろな価格で買えることから、人気となったと見られる。

「売り上げが落ちた」商品は?

続いて、販売金額が落ちたもののランキングを確認したい。

1位の体温計には、全国との差がそれほど見られなかった。コロナに感染していないかを確認するための需要が急伸していた体温計は、一度購入すれば故障や紛失などがない限りは使い続けることができる。感染状況の沈静化もあり需要が一巡した傾向には、地域による違いが見られにくいようだ。

2位のしわ取り剤(衣類用)の前年比は、全国よりも7.7ポイント低い75.0%となった。しわ取り剤の販売は、長期的な減少が続いていた。転機となったのは、2021年春に発売されたスプレータイプの新商品。しわ取りだけではなくウイルス除去の効果などもあると訴求し、ヒット商品となった。

4位の殺菌消毒剤の前年比は、全国より9.9ポイント大きい82.8%と下げ幅が限られている。インバウンド需要の回復により、傷薬タイプの商品の販売が伸びているためだ。ただし、感染予防のための手指消毒用のものに絞れば、近畿で前年比49.1%と半分を割り込んでおり、全国と比べても下げ幅が大きい。殺菌消毒剤の売れ行きからも、感染予防のための需要の落ち込みが見られた。

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