先行試乗「アイオニック6」超個性BEVの全貌 2023年中に発売が予定される新勢力の実力値

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とってつけたような配置でないことは好感が持てるが、車外のセンサー本体が見えるので、どうしてもまず視線がそちらに行ってしまう。「ホンダe」のようにセンサーが見えないほうが、慣れるまではよさそうだ。

デジタルドアミラーのモニター。外にあるセンサー(カメラ)につい目が行ってしまう(筆者撮影)
デジタルドアミラーのモニター。外にあるセンサー(カメラ)につい目が行ってしまう(筆者撮影)

カラーコーディネートは、明るめのグレーを基調としたモノトーンでまとめてあって、モダンな造形に合っていた。

キャビンのスペースは、アイオニック5に近い。つまり、後席はかなり広く、身長170cmの筆者は足が楽に組めた。気になる頭上空間も、手のひらが入るぐらいは確保されている。駆動用バッテリーを収めたフロアはやや高めだが、気になるほどではない。

シートの座り心地は、前席は固め、後席は柔らかめで、助手席に後席から操作する前倒しなどがあることを考えると、ショーファードリブンも考慮に入れているのかもしれない。

シート形状は一般的。ブルーとオレンジのアクセントが入る(筆者撮影)
シート形状は一般的。ブルーとオレンジのアクセントが入る(筆者撮影)

パッケージングにおけるアイオニック5との大きな違いは、ハッチバックではなく独立したトランクを持つこと。よって、後席のスライドやリクライニングはない。ノーズの小さなトランクにリッドがないことも、アイオニック5との違いだ。

ハッチバックのように見えて独立したトランクがあるのが特徴(筆者撮影)
ハッチバックのように見えて独立したトランクがあるのが特徴(筆者撮影)

日本の街に“この姿”が走る日

試乗車は、右ハンドルの2モーターAWD。0-100km/h加速5.1秒を豪語するだけあって、加速はかなり勢いがある。ドライブモードはエコ/ノーマル/スポーツの3種類。パドルは回生ブレーキの調節で0〜4の5段階あり、4にすると最強で、いわゆるワンペダルドライブができる。

高速道路で試したADAS(先進運転支援システム)は、車線変更のときにはステアリングアシストをしてくれたり、ウインカーを出すとメーターにサイドの映像を出してくれたり、高度でわかりやすいうえに作動もスムーズで、満足できるレベルだった。

デザインも表示もシンプルに考えられたメーターパネル(筆者撮影)
デザインも表示もシンプルに考えられたメーターパネル(筆者撮影)

乗り心地はクーペだからか、アイオニック5より固め。ボディの剛性感はしっかりしているが、スピードを上げてもフラットになっていくことはなかった。245/40R20というタイヤのためもあるが、もう少しサスペンションのストローク感が欲しい。

ハンドリングはAWDであるためか、安定感を重視している印象。コーナーでアクセルを踏み込んでいくと旋回力が強まるものの、後輪駆動ベースであることは、あまり強調していないキャラクターだった。

このように、シャシーまわりにはさらなる熟成を望みたい部分もあるが、電動走行のマナーは優秀でもあることも確認できた。でも、このクルマはやはり“デザイン買い”する1台だろう。

日本で走る姿を見ることができるのはいつになるか、楽しみに待ちたいと思う。

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森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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