台湾流・半導体人材育成術「半導体学部」のすごみ 明新科技大学、日本が学ぶべき産官学連携
明新科技大学の劉国偉・学長は、大学と企業との関係をリンゴの木に例えて説明する。それは、大学には学生というリンゴの果実が成っている。それを企業が収穫に来る。大学と従前から関係を持つ企業であれば、どんな果実が成り、どんな味がするかわかる。だから寄付や提携関係を持っておけばコミュニケーションも増える。それほど密接な関係を持つべきだと力説する。
劉・学長は「大学・国・産業界の三角形の角が1つでも欠けると、全体の発展につながらない」と断言する。また、「三角形がいい形で保たれれば、自分の大学だけでなく周辺の大学や高校など教育機関にもよい影響を与える」と付け加える。
政府も補助金など万全のサポート体制
台湾政府もこういった取り組みを支援する。台湾の文科省にあたる教育部で技術や職業教育の実務トップ(技術及職業教育司)を務める楊玉恵・司長は、「当然、広範囲な人材育成を台湾として目指しているが、とくに国際的に活躍できる人材という点で、半導体産業に注目している」という。
大学は自ら必要とする人材育成の目標を設定し、そのためのカリキュラムを独自に編成する権限を持つが、台湾政府としては「政府は補助金などの制度を用いて、大学と企業の人材育成のギャップを埋めることに注力している」と楊・司長は説明する。
日本政府や熊本県などの自治体もTSMCの進出を契機に、半導体産業への関連政策に力を入れているが、この明新科技大学のケースは「人材育成と企業の関係」という点で、効率的かつ長期的に安定した関係を構築できるのではないか。そのためには、台湾のような密接な産官学連携を可能とする人材育成の戦略こそ、何よりも望まれる。
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