「スト権確立」のそごう・西武、売却劇は重大局面に 当事者が参加した初の全体会合でも物別れ
「すべて報道が先行している。情報に対するガバナンスやきちんと向き合ってもらえていないという点に従業員は憤りを感じている」(そごう・西武労働組合の寺岡泰博委員長)
セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下の百貨店、そごう・西武の売却問題。同社労働組合は7月25日、組合員による投票の結果、賛成率93%でストライキ権が確立されたと発表した。
「決行も検討しなければならない」
セブン&アイHDがそごう・西武の売却を決断したのは2022年2月。2度の入札を経て同年11月、アメリカの投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループに売却する契約を締結した。
フォートレスは協力する家電量販大手、ヨドバシカメラの西武池袋本店(池袋西武)への入居を計画する。だが、その条件交渉が難航、売却実行の時期は2度延期され、ついには「無期限延期」となり現在に至る。
組合は売却後の雇用継続や百貨店事業の成長戦略が不透明だとして、そごう・西武やセブン&アイHDの経営陣に説明を求めてきた。ただ、冒頭の寺岡委員長のコメントにある通り、経営陣からは一度も説明のない状況が続いている。そこでしびれを切らした組合が、スト権の確立に動いたというわけだ。
寺岡委員長は「決行すれば、取引先やお客様に大きな迷惑がかかる。スト権確立をもって、すぐにストを行うということではない」と強調する一方、「雇用が継続されない、あるいは継続されると検証できない状態が続けば、決行も検討しなければならないだろう」と語る。
売却後の計画では百貨店の「顔」といえる低層階を含めて、池袋西武の過半にヨドバシカメラが入居する計画になっている(詳細はこちら)。そごう・西武にとり、池袋西武は収益の大部分を占める企業全体の根幹だ。
「今、議論されているのはそこに家電量販店が入る、という問題では済まず、むしろわれわれがテナントとして入るような計画だ。そうなればもはや百貨店事業側の意見は経営に反映されないだろう」(同)
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