いま挙げた山一證券(1997年)、雪印乳業(2000年)、船場吉兆(2007年)、焼肉酒家えびす(フーズ・フォーラス、2011年)の例は、いずれも10年以上も前に行われた会見だ。テレビのワイドショーなどで、幾度となく放映されたため、記憶に残っている人も多いだろう。
これらを第1世代として、筆者は「謝罪会見のコンテンツ化」が進んでいったと考えている。
ネットの進化、SNSの発達で受け手との距離感も変化
そしてその後、SNSの普及によって、釈明や謝罪会見は「どこかにツッコミどころがあるはずだ」と考えつつ見るものに変化した。ネットメディア編集者としての経験から、筆者は以下の3つが要因だと見ている。
まずは(1)中継形態の多様化だが、会見がノーカット配信されるようになったのは大きい。とくに人命や倫理観が問われるような重大事案では、会見時間も長め、もしくは無制限に設定される。しかしテレビでは、放送時間の限りもあるため、「インパクトのあるところ」のみが切り出され、生中継であっても、CMや番組編成の都合などで、そのすべてを伝えることは難しかった。
しかしニコニコ生放送やYouTubeなどの配信プラットフォームが登場し、ABEMAなどの配信サービスが生まれたことで、テレビ局でも通常番組に影響を出さず、同時生配信が可能になった。それにより、会見を開く企業は、想定問答外の対応力が問われるようになっている。
そこへ来ての(2)視聴者投稿でのツッコミだ。ビッグモーター会見は平日日中の開催ながら、ライブ配信などで幅広く視聴された結果、ツイッターでは多くの関連キーワードが「トレンド入り」した。リアルタイムに見ながらの「実況ツイート」だけでなく、会見を速報したメディア各社の記事も拡散され、とくに「ゴルフ冒涜」発言にはツッコミが相次いだ。
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