AIに仕事を奪われないために有効な「脳の鍛え方」 62歳で「海馬の細胞」が増えたタクシー運転手

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では、ヒトならではの力を発揮できる脳を手に入れるためには、どうすればいいのでしょうか。

まずやるべきことは“脳の「やる気」を引き出す方法を知る”ことに他なりません。

なかでもBDNFと呼ばれる、脳のパフォーマンスを上げる物質を増やすことが大切です。

脳のパフォーマンス向上は、インプットした情報を活用することによって行われています。

したがって、情報をきちんと「長期記憶」として、脳に刻み込むことが大事です。

つまり、土台となる長期記憶を最適な状態にチューンアップできれば、脳のパフォーマンスを向上させることにつながります。

長期記憶は、神経細胞とシナプスでできています。ですから、神経細胞とシナプスを最高の状態に保てれば、神経回路の形成と維持、そして活性化が起きます。

この神経細胞とシナプスの状態を最適化して、脳のパフォーマンス向上を促すもっとも効果的な方法が、運動です。

レジスタンス運動でBDNFを増やす

運動は、脳のパフォーマンスを上げるカギとなるBDNFをもっとも効果的に増やしてくれます。

BDNFは、記憶を司る海馬において、神経細胞の新生を促していると考えられています。

また、神経細胞そのものだけでなく、シナプスを新たに作ったり、その信号伝達の効率を上げたりする作用がある物質です。

運動の内容は、軽く息が切れる程度の速足のウォーキング、またはジョギングがよいとされています。

しかし、近年の研究から、短時間のレジスタンス運動(筋肉に負荷をかける運動)、つまり筋トレなどでもBDNFの発現が高まると考えられています。

ですので、時間に余裕のある方は、ジョギングなどの運動を時間をかけて行い、忙しくてなかなか時間がとれない人は、短時間でもいいので軽い腹筋運動やスクワットなどのレジスタンス運動を行うのがよいでしょう。

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