宿題の定番「読書感想文」課さない学校増の背景 子どもの読書離れに懸念の声も出ている

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強制ではなくなる学校が出てきたとはいえ、全員絶対提出の伝統を守る学校もまだある。福島県郡山市の40代女性は息子の読書感想文に毎年手を焼いてきた。一昨年、小学5年生のときに出された読書感想文の課題は原稿用紙4枚分。息子はもともと作文が苦手。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を選んで読み終えて原稿用紙に向かったものの、手は一向に進まない。

丸一日かけて「ほぼ私(母親)が導いてあげた作文」が完成した。6年生になった昨年は自分で書けるようになり成長を感じたものの、さほど指導もなく家庭に丸投げされることにはもどかしさを感じている。

「4年生以上は作文2枚と感想文4枚が夏休みの必須課題になっています。困っている子どもも少なくないのでは」

都内公立小学校で学校司書として長年子どもと関わる女性(54)は、高学年の課題図書のレベルが現実に見合っていないと感じることがあるという。全国学校図書館協議会などが主催する青少年読書感想文全国コンクールの場合、小学校部門は低・中・高学年に分かれ、4冊ずつ課題図書が設けられている。

「時代を映すいい本もありますが、ある程度の読書力が備わっていないと、ハードルは高いかもしれません。最近は、長くて分厚い本を読めない高学年の子どもが増えていますので」

好きな本を選んで書く自由読書枠もあるが、これはこれで「選書」というハードルもある。

不読者の割合は増加

子どもの読書離れは今にはじまったことではない。2001年、子どもの読書離れを懸念した国は「子どもの読書活動の推進に関する法律」を公布、学校図書館の充実など、環境整備に力を入れた。前出の協議会が毎年全国の小・中・高校生を対象に実施する学校読書調査によると、小・中では1カ月あたりの平均読書冊数は推進法が公布された2001年と比べて倍以上増えた。

しかし、1カ月に1冊も本を読まない「不読者」はなかなか減らない。昨年度、国は不読者の割合を小学生(4年生以上)で2%以下、中学生で8%以下にする目標数値を掲げたが、実際の数字は小学4年生以上6.4%、中学生18.6%とかなり高めだ。もともと「不読者」の割合が高かった高校生にいたっては半数以上の生徒が月に1冊も本を読んでいなかった。(フリーランス記者・宮本さおり、ライター・大楽眞衣子)

※AERA 2023年7月24日号より抜粋

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