マツダがEVで「フロントランナーにならない」真意 新社長が語る電動化戦略と中国での巻き返し策

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ーーアメリカでは昨年、インフレ抑制法(IRA)が成立しました。EV購入にあたり最大7500ドルの税額控除を受けるためには、北米で最終組み立てされた車両であることを前提に、搭載する電池の材料や部品の調達先にも条件が課されています。北米でのEV生産や電池調達でどのように対応しますか。

どこかの時点では、現地で電池調達をして自動車を生産しなければならない。その準備をいろいろと開始する。IRAの効力は2032年までなので、それまでにはある程度の設備投資をやっていかなければいけないと考えているが、2025年頃からアメリカでどんどんバッテリーEVを出すということはない。

他社と競争する上で大事になるのは、バッテリーEV専用プラットフォームと、ECUやセンサーなどを繋ぐシステム構造である電気/電子アーキテクチャだ。電気/電子アーキテクチャはトヨタと協力しており、開発のタイミングを見ながら投入の照準を合わせていく。

ーー6月に、パナソニックと電池調達について協議を開始しました。これは北米を想定しているのでしょうか。

パナソニックと協議しているところだが、まずは日本から始めたい。ただ、北米でも電池調達をしていかなければならないので、その時はパートナーとしてパナソニックが有力だ。

中国での反転シナリオを準備

ーー中国ではEVを含めたNEV(新エネルギー車)へのシフトが急激に進んでいます。

中国はコロナ禍の数年で相当、(NEVの)競争が進んだ。バッテリーというよりも、すでに知能化の競争に入った感じがする。今後は競争に敗れて落ちていく会社が多いんだろうなという印象を持っている。

中国のお客様はEVを購入する方が多く、そのパイがどんどん広がっていくことも明らかだ。内燃機関車とハイブリッド車(HV)だけではお客様を取れないので、現地パートナーの技術を使ったバッテリーEVを柱に据えて事業を成長させていく。

ーー今年度は北米専用SUVの「CXー50」を中国に投入します。5月末にガソリンモデルを発売し、11月にはハイブリッドモデルも発売します。

商品力のあるCX-50を投入したので、それを販売台数増加のテコにする。ただ、想定していたほどの数量を前提に置くと生産が過剰になると思うので、できるだけ生産を絞って立ち上げていく。

ーー中国でバッテリーEVの新車種を2025年頃に投入する、と。となると、あと1年半ほどは厳しい局面が続きます。

 内燃機関車の価格下落はある程度続くという想定を置かざるを得ない。したがって、足元の採算は非常に厳しいものになるだろう。ただ大事なのは、そこから反転するシナリオがあるかどうかだ。そこについては現地パートナーと話ができている。これからの約1年半で、販売店を含めてどう反転に向かって準備を進めていくのかが当面の課題になる。

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