マツダがEVで「フロントランナーにならない」真意 新社長が語る電動化戦略と中国での巻き返し策

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ーーPBR(株価純資産倍率)は0.6倍程度と、国内乗用車メーカー7社の中でも低位に沈んでいます。電動化について「意思を持ったフォロワー」では株式市場からの評価は低いままになりませんか。

 電動化が遅いのが悪かのようにおっしゃるが、それは戦略の話だ。ただ、カーボンニュートラルやESGの投資に関する考え方や時期、規模については、投資家などともっとコミュニケーションを図っていかなければならない。これまではそれが不透明だったので、「この会社は大丈夫か」と思われていた。そのあたりは新体制で変えていく。

もろ・まさひろ/1960年生まれ。1983年マツダ入社。主にマーケティング畑を歩む。欧州子会社副社長やアメリカ子会社の社長や会長を歴任。2019年に取締役専務執行役員。2021年からはコミュニケーション・広報・渉外などを統括。2023年6月から現職(記者撮影)

ーーそれでPBRをどのように向上させるのですか。

 収益をちゃんとあげる、それから1株あたりのリターンをよくする、それを通じて株価を上げる。これしかないと思う。

 還元については、従業員還元と株主還元の2つをしっかりやっていく。前期の年間配当金は45円と過去最高額だったが、まだ少ない。マツダは過去、しっかり稼いでそれを還元していくということがあまりできてこなかったので、そこは着実に配当性向を改善させるべく取り組んでいく。それは実績で示していくしかない。

ギガキャストの評価は完了

ーー車体部品の一体成形技術「ギガキャスト」の採用に各社が動き出しています。マツダのスタンスは。

 ギガキャストについて、すでに評価はだいたいできている。ギガキャストを導入することで、どこで何が効率化できて、逆にどんなデメリットがあるのかということは理解した。なので、技術開発をして、導入しようと思えばできるんじゃないかなと思っている。

 ただ、全体的な投資効率を考えると、バッテリーEVの生産は数量が上がるまでは内燃機関車との混流生産でやるべきだと思う。混流生産のラインにギガキャストを放り込むのが本当にいいのかについては、疑問が生じる。バッテリーEV専用の生産ラインを設置するなら、メリットがたくさんある。

ーー6月にロータリーエンジンを発電機とするPHV(プラグインハイブリッド車)「MX-30」を欧州向けに量産開始しました。国内への投入時期は。

 国内でも出したいとは思っているが、時期についての最終決定はまだしていない。欧州の反応をまずは見たい。品質やお客様の評価を確認することが大事だと思う。

ロータリーエンジンを実用化したことで知られるマツダ。そのロータリーエンジンを発電機として使用するPHV「MAZDA MX-30 e-SKYACTIV R-EV(欧州仕様車)」(写真:マツダ)

ーーマツダのファンづくりやブランド価値向上策は。

 草の根のモータースポーツ活動を強化していくことは当然として、マツダファンやお客様が色んな車の楽しさを体感いただけるイベントを充実させていきたい。われわれからお客様に近づいていくという考え方で取り組みをしていく。

 また、そうした活動の事業化を考えていきたい。できれば別法人でやりたいと思っている。マツダの中のサイクルでやると間延びしてしまうこともあるので、お客様に早く対応できるような組織にするとなると、なんらかの別法人にしてやっていかなければならない。時期については可及的速やかに走りたい。

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村松 魁理 東洋経済 記者

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むらまつ かいり / Kairi Muramatsu

自動車業界、工作機械・ロボット業界を担当。大学では金融工学を学ぶ。趣味は読書とランニング。パンクロックとバスケットボールが好き。東京都出身。

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