｢ビッグモーター社長｣心理を会見時の表情で分析 表情からは不正は本当に知らなかった可能性も

一方、会見前半、不正が組織的になされたものかを問われ、「組織的ってことはないと思いますね」「個々の工場長が指示してやったんじゃないかと」「そのあたりまだ事実確認がとれていませんけれど」と兼重社長は、①瞬きを増加させ、②眉間にしわを寄せ、③首を傾げながら答えます。

それぞれの動作は順に、①緊張、②熟考、③不確かさから生じます。組織的になされたかどうかということについて、「組織的」という言葉をどこまで含めるか慎重になり、社長自身も「よくわかっていない」のではないかと推測します。

頭を下げる兼重宏行社長（7月26日辞任）（撮影：今井康一）

経営陣は不正に関与していたのか？

気になるのが、先の質問に関連し、改めて経営層の関与はなかったのかと問われ、兼重社長は、「まったくないです」と答えつつ、頷く動作を見せる場面です。通常、頷く動作は肯定を意味しますので、言葉と動作が一致していません。「もしかしたら経営層もどこかで関与しているのかも」という可能性が頭をよぎったのかもしれません。

会見中盤、会見に出席していない副社長について質問がなされます。副社長も不正について知らなかったのかを問われ、兼重社長は、口を一文字に結び、感情を抑制する表情を見せ、回答をほかの出席者に促します。これに26日付で新社長に就任した和泉伸二専務取締役は、「直接の関与というより、原因の一端となったと副社長自身は認識している」と答えます。