「ビッグモーター社長」心理を会見時の表情で分析 表情からは不正は本当に知らなかった可能性も

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また、会見終盤、不正の根底に副社長のパワハラがあったのではないかと問われ、兼重社長は、瞬きを増加させ、頷き、口を一文字に結び、「私はそういう認識はありませんでした」と答えます。

これら緊張、肯定、感情抑制の動作・表情及び「私は」という単語選択から、「副社長の言動は人によってはパワハラと捉えられるかもしれない」と思った可能性を推測します。

真実を知っているのは他の経営陣か?

この質問に、和泉専務は「現場で、副社長がパワハラととられる行為を行っていたというのは、私自身は知りませんでした」と答えています。表情・動作に違和感がないことから、言葉通りに解釈すると、パワハラまがいのことが不正の根底にあった可能性は否定できないようです。

以上、真相については不明ですが、会見中の表情分析に限っていえば、兼重社長というより副社長含めほかの経営陣が、現場の実情を知っていたのではないかと推測されます。ゆえに、加害者よりも被害者意識を強く感じさせる兼重社長の言動が目立ったのではないでしょうか。

清水 建二 株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役

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しみず けんじ / kenji shimizu

1982年、東京生まれ。防衛省研修講師。特定非営利活動法人日本交渉協会特別顧問。日本顔学会会員。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。著書に『ビジネスに効く 表情のつくり方』イースト・プレス、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』フォレスト出版、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』飛鳥新社がある。

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