訪日客の鉄道旅、英語通じず困った「あるある」集 駅名は固有名詞というこだわりが招く誤解

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まったく英語を解さない中国人も、コミュニケーションをとろうという意識は高く、彼らはスマホの翻訳機能を巧みに使う。グーグル翻訳などではなく、アプリをインストールする方法で、英語版は常に入れておき、日本へ旅行するときは日本語版、帰国したら日本語版をアンインストール、タイへ行くなら今度はタイ語版をインストールするのである。中国の翻訳アプリは性能が良く、スマホに向かって喋ると、きれいな日本語が表示され、その機能にはびっくりする。

日本人ももっとスマホの翻訳機能を使えばいいとも感じる。機械に頼る合理性も必要だ。まして日本人は多くの英単語を知っているので、翻訳機能を使うことで「こういう場面ではこう言えばいいのか!」と感じるはずである。

英語に馴染む習慣も必要

東京メトロの国会議事堂前の駅名表示は漢字とローマ字で「Kokkai-gijidomae」とあり、丸ノ内線ホームには「National diet bldg」という併記が入ったものの、千代田線ホームにはない。24時間切符で利用している外国人は多いが、ローマ字表記をNational diet bldgに変えれば「ちょっと下車してみてみよう」となるはずである。

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代々木公園もローマ字表記はYoyogi-koenではなく、Yoyogi parkでいいのではないだろうか。東西南北、新、何丁目など、英語にできそうな部分はたくさんある。○○大学も、海外では必ず○○universityで、○○-daigaku表記にメリットはない。

ちなみに、ソウルの地下鉄には古くから街の中心に漢字表記だと「市庁」という駅があるが、私がはじめてソウル地下鉄を利用した1980年代からローマ字表記はCity hallであった。

日本では「駅名は固有名詞」というこだわりがあるのだろうが、柔軟に対応できたらと感じる。

谷川 一巳 交通ライター

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たにがわ ひとみ / Hitomi Tanigawa

1958年横浜市生まれ。日本大学卒業。旅行会社勤務を経てフリーライターに。雑誌、書籍で世界の公共交通機関や旅行に関して執筆する。国鉄時代に日本の私鉄を含む鉄道すべてに乗車。また、利用した海外の鉄道は40カ国以上の路線に及ぶ。おもな著書に『割引切符でめぐるローカル線の旅』『鉄道で楽しむアジアの旅』『ニッポン 鉄道の旅68選』(以上、平凡社新書)などがある。

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