訪日客の鉄道旅、英語通じず困った「あるある」集 駅名は固有名詞というこだわりが招く誤解

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博多駅では、観光案内所ではなく、鉄道案内所で、やはりヨーロッパ系の人が「歩いて天神へ行きたい」と尋ねているのに、係の人は地下鉄を案内するばかりで話がかみ合っていない(観光案内所に訪ねればこのようなことにはならなかったであろう)。

なので私が、駅前通りの見えるところまで案内し、「川を2回渡る」「少なくとも30分はかかる」と言っておいたが、その人は「平気平気」と答えていたので、おそらく、観光がてら街並みを見ながら天神へ行きたいのであろう。都市の規模によるが、地下鉄やバスがある都市でも「ローマは結局歩いて観光した」などという人は多いはずだ。旅先では日常の町の風景を観光したい人は多いものである。

韓国人はセブ、中国人はスマホ

日本の英語通用度の低さは世界屈指である。筆者は世界の50カ国ほどで鉄道旅行をしているが、切符購入、車内検札などで、こちらが外国人と分かっていながら、現地の言葉で話してくる国は、昔の中国くらいしか思い浮かばない。たいていの国では片言であっても英語で対応するか、あるいは英語の分かる人を連れてくる。

かつて韓国も英語の通用度が低かったが、現在は英語を話す人が多くなった。若者はこぞってフィリピンのセブ島へリゾートを兼ねて英語の勉強に行く。アメリカ、イギリス、オーストラリアなどと違ってフィリピンなら近いし物価も安い。

日系航空会社はセブ島へ定期便を飛ばした実績はないが、韓国の航空会社は大韓航空、アシアナ航空の大手2社はじめ、LCC(Low cost carrier=格安航空会社)3社の計5社がセブへ飛んでいる。日本からは0、韓国からは5社という差が、そのまま英語力の差になっているといっても過言ではない状況だ。日本ではフィリピンのイメージが今ひとつよくないが、近隣で活きた英語を学べる地というメリットがある。韓国人の若者にとってセブ島は林間学校か修学旅行のイメージである。

中国はどうだろう。実は中国人は日本人を羨ましく思っている部分がある。「パスポート」「チケット」「ビーフ」「チキン」、これらは日本人なら誰でも使う英語である。ところが中国には外来語がない。「パスポート・プリーズ」「チケット・プリーズ」「ビーフ・オア・チキン」と言われてもチンプンカンプンである。加えてロンドンもニューヨークも解らない。地名も漢字の当て字にし、海外で通じる発音で知っている地名がない。「東京」すら「トーキョー」ではなく、中国語の読みとなる。日本でいえば上海を「じょうかい」と読んでいるようなものだ。そのため、英語の勉強を必須に感じていて、その度合いが日本とは異なる。日本人は英語が話せなくても多くの英単語を知っているので、旅行程度なら海外へ行ってもそれほど困らないからである。

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