訪日客の鉄道旅、英語通じず困った「あるある」集 駅名は固有名詞というこだわりが招く誤解

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聞くとインドネシア人とマレーシア人混成の10人で(インドネシア語とマレー語同士はだいたい通じる)、「青春18きっぷ」2枚で横浜まで行くという。2番線には普通「米原行き」が停車しているが、1番線は新快速「長浜行き」で、彼らにしてみれば2番線の「米原行き」ではなく、1番線の「長浜行き」を「本当にこれなのか」と私に尋ねていた。

列車が遅れたことで予定が狂ったはずなので、横浜までの乗り継ぎを調べ、紙に書いて渡したところ「浜松の乗り継ぎは1分で大丈夫なのか」などと聞かれ、「隣のホームだから大丈夫」などと説明したところ、いろいろ尋ねられ、結局、米原、大垣と乗り継いで豊橋まで10人と同行することになった。

リーダーはインドネシア人女性で、「日本語はいくつ知っていますか?」と聞くと「こんにちは」「ありがとう」「青春18きっぷ」の3つだけという。私は「豊橋から熱海までは通勤車両ばかりで、食事をするならこの列車がいいと思う」「豊橋から熱海までの列車はトイレがないかもしれないので豊橋までに行っておいたほうがいい」などの説明をした。

彼らは事前に列車時刻を調べてあったものの、遅延などがあったとき、駅員の説明では対応できていない。少なくとも「Maibara」「track1」くらいの対応はして欲しいと感じた。

インド人女性に「乗車券はお持ちですか?」では…

次は中央本線での出来事。大月から211系の最後部、車掌室の近くに乗って「青春18きっぷ」で高尾へ向かっていた。すると、日本人乗客が一目でインド人女性と分かる乗客を車掌室まで連れてきて、女性車掌に「お願いします」と言って日本人乗客は前部の車両に戻っていった。おそらくインド人女性に何か尋ねられたのであろう。インド人女性は困った顔つきで切符を車掌に差し出した。その切符は特急券のようであるが、車掌は日本語で「乗車券はお持ちですか?」と言い、私は仰天してしまった。どう見ても日本語など通じそうな雰囲気ではなかったからである。インド人女性はおろおろするばかりである。

そこで私が「Do you have another ticket?」続けて、おそらくそうだと思い、「Do you have Japan rail pass?」と言うと、インド人女性は私に切符を見せた。案の定ジャパンレイルパスを持っていて、特急券は大月をこの普通列車の後に出発する「あずさ」のものである(大月から新宿)。特急のすぐ前を走っていた普通列車に間違って乗ってしまったのだ。

しかし、「あずさ」の次の停車駅は八王子で、この普通列車はそれまでに「あずさ」に抜かれてしまうので、彼女はもう特急券の列車に乗ることはできない。

そこで車掌に「彼女は私が何とかします」と言って、インド人女性に「もうこの切符の特急には乗れない」と説明し、新宿まで普通列車でお連れすることにした。彼女はインドのハイデラバードからのひとり旅で、ジャパンレイルパスを利用して京都と広島へ行き、今日は富士山を見に行き、東京では品川のホテルに泊まるという。

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