VR技術は「ニュース消費」をどう変えるのか 米国で注目される没頭型ジャーナリズム

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ユーザーを「没頭」させることが目的といっても、必ずしも長編の大作である必要もない。

筆者が別件で電話取材を行った、ISOJのもうひとりの登壇者であるロバート・ヘルナンデス准教授も「短い、気軽なコンテンツの可能性もある」と話した。

前述したニューヨークタイムズマガジンの「ウォーカーニューヨーク」も5分程度で全編を見ることが可能だ。 

5年後にはどうなる?

最後に筆者は、レイモンド氏にVRジャーナリズムの将来像を伺った。

5年後にはどうなるかって? VRは、ユーザーを没頭させるストーリーテリングの最初の一歩だ。ゲーム業界がそうだったように、その先にはAR(拡張現実)の流れも来るだろう。技術の進歩がどれほどの速さで進むか予測するのは難しいが、ゲーム産業やいくつかのメディア企業だけのものではなくなっているだろう。

メディア企業がどのようにVRを活用し、我々を「没頭」させてくれるかを引き続き追っていこうと感じさせてくれた。本連載の次回で、NYタイムズマガジン編集長のジェイク・シルバーステイン氏にNYタイムズマガジンのVRへの挑戦について語ってもらう。

大熊 将八 東京大学4年生

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おおくま しょうや / Shoya Okuma

199254日生まれ。東京大学経済学部4年。日本のデジタル・ジャーナリズム関係者へ取材をしたり、ネット社会のこれからを考えたりするブログ『くまりんのビッグベア・ウォッチ』を20143月から開始。佐々木俊尚氏や津田大介氏に取材をするなど、精力的な活動をしている。20153月より、デジタル・ジャーナリズムの最前線である米国東海岸の新興ウェブメディアに「取材留学」。普段は、社交ダンスをスポーツ化した競技ダンス部で活動する傍ら、エンジェル投資家・瀧本哲史氏のゼミで投資分析を実践した経験を活かし、デジタルメディアのこれからを分析している。身長は192cm。好きな女性のタイプは「変な人」。

 

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