12万円弱で「高すぎる」と言っていた人にとっては、トルコの販売価格は驚くべき数値でしょう。アップルなどの外資系企業はきちんと市場調査やマーケティングを行っていますから、そういった分析を踏まえたうえで、日本での販売価格を最も安く設定しているわけです。つまり、日本は「安くしないと売れない」とみなされているのです。
しかし、日本人は世界最安値のiPhone14ですら手が出ません。安価なAndroidスマホに乗り換えるか、どうしてもiPhoneが欲しい人は型落ちのiPhone13や、廉価版のSEシリーズなどを買うようになっています。
実際、市場調査会社BCNがまとめた大手家電量販店における実売データによると、iPhone14の販売台数はiPhone13より31%減、iPhone12より69%減となっています。世界最安値のiPhoneすら買えず、型落ちや廉価版しか買えない。それが今の日本のスタンダードになってきているのです。
日本では激安品の宣伝ばかり
海外と日本を往復していると気がつくのですが、日本では他の先進国で大量に流されているハイスペックなマンション・最新モデルの自動車などの宣伝がほとんどありません。
たとえば欧州だと、雑誌やテレビ、ネット広告でサムスンやLGなど、韓国企業の高級家電の宣伝がどんどん流れます。そういう広告は以前は日本メーカーの製品だったのですが、今や韓国メーカーのものが中心です。日本ではそういった広告を目にすることがどんどん減ってきています。
また、欧州では高級車メーカーの最新型モデルが発売されると、あらゆる媒体に一斉に宣伝が流されます。ところが日本のテレビや雑誌で見かけるのは、超激安のファミリー向き軽自動車やコンパクトカーばかりです。
化粧品も日本ではプチプラコスメを取り上げています。これは、アメリカや欧州でいうと、1ドルショップや1ポンドショップなどを使う低所得者向けの商品ばかりを取り上げるようなものです。
これは日本人の美意識や消費意識が変わったからということが理由でしょうか? そうではないでしょう。
セルフイメージに恐ろしく気を使う日本人は化粧室で他人に見られることもある化粧品はいいものを揃えたいはずです。プチプラや100円ショップの化粧品はどんな材料を使っているかわからないので、不安に思っている人もいるでしょう。
それでも結局お金がないので、安いものを買わざる得ないということなのです。そしてメーカー側も日本では高額な商品が売れないので、宣伝すら流さないわけです。
一方、イギリスの朝のワイドショーで取り上げる化粧品は、欧州の一流メーカーの高級品が中心です。他の欧州各国やアメリカでも、日本のバブルの頃と同じように、高級ブランドの化粧品の宣伝はどんどん流れています。つまりそれだけお金を払う消費者がいるということなのです。
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