「iPhoneは高い」と感じる人は世界を知らなすぎる 「高価格帯・高品質」が売れない国になった日本

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
拡大
縮小
「日本は物価も給料もいまだに激安」である。その事実を世界と比較して見てみましょう(写真:USSIE/PIXTA)
「外国人が観光地に殺到!」――最近よく見かけるこのニュース。もちろん、長く苦しかった観光業が復活するのは喜ばしいことですが、実は外国人がこぞって訪れているのは「日本が安い国」だからなのです。
元国連専門機関職員の谷本真由美さんは、「日本は物価も給料もいまだに激安」であり、その安さゆえに「海外から買われている」のだと言います。本稿では、谷本さんの最新刊『激安ニッポン』からの抜粋で、「日本の物価がいかに安いか」について、iPhoneやスニーカー、テレビCMなどの実例を挙げながら、紹介していきます。

“ペラペラの服”を着る若者たち

「日本では安いものしか売れない」ことを表している例はいくらでもあります。日本に帰ってハッと気がつくのは、日本の若い人たちは、他の先進国と「服の流行」がかなり違うという点です。

若い人はトレンドに敏感なので、海外の若者たちは最新の流行りのスニーカーを履いていたり、トレンドの服を着ていたりします。

一方、日本でまず気がつくのは、若い人の足元を見ても、北米や欧州で流行している最新モデルのスニーカーを履いている人がほとんどいないということです。少し新しいモデルを履いている人もいるかなと思っても、よく見ると2シーズンぐらい前のものです。

しかも、他の国で流行っているNIKEなどではなく、海外では特に人気のないブランドのスニーカーを履いている人が非常に多いのです。つまり、「在庫が余っている古いもの」を選んでいる人が多いということです。

これは日本人が服装にこだわらなくなったからでしょうか? 若い人の場合、そんなことはないと思います。今も昔も日本人ほど自分のイメージや見た目を気にする人たちはいません。しかし、最新モデルは2、3万円しますから、若い人たちにとってはもう買えない人が多いのです。

さらにバッグを見ていてもこれはよくわかります。

日本は20年ぐらい前に比べると、随分と安いバッグを持つ人が増えました。女性は布バッグや合成革のバッグが目立ち、他の先進国の人々に比べると、明らかに品質が低いものを持っているのです。

次ページTシャツ1枚が1万5000円
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT