ドトール「450円モーニング」不親切な価格設定の謎 単品販売してないモーニングのフードが計算の肝

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チェーン店のモーニング連載をしていると「店によってサービスや価格が違う」「公式サイトで詳しい説明がない」といったことはよくあるのですが、ドトールはそれらとは種類の違う不思議さで、個人経営のそっけない純喫茶のような味わいを感じます。

ドトールのコーヒーは安いのにおいしい

謎は深まるばかり……などと思う一方で、今回改めて感じたのは「ドトールのコーヒーはおいしい」ということ。アイスコーヒーを飲んだのですが、スッキリとした苦味で爽やかでした。流行りの味というよりは、昭和の喫茶店のコーヒーを今風にした味で、雑味が少なくて飲みやすかったです。

冷えたアイスコーヒーは真夏のオアシス。スッキリコクがあって爽やかな味わい(筆者撮影)

「スターバックス」の深煎り豆ならではの苦味とコクもおいしいし、サードウェーブコーヒー店の浅煎りのフルーティーさもおいしいのですが、こういう普通のコーヒーがおいしいとホッとします。

単品価格で税込250円という、同業他社と比べると圧倒的な低価格でコーヒーが飲めるのは「ドトール」最大の魅力だといえるでしょう。

今回筆者が利用したのは、JR山手線の駅から徒歩3分ほどの立地にある、飲食チェーンが乱立する激戦区に位置する路面店です。土曜日の朝、近隣のカフェチェーンも覗きがてら来たのですが、「ドトール」がどの店よりも混み合っていました。

450円でこのクオリティのパンとコーヒーが出てくるというのは、原価率が高いということが予想できます。利益を生み出すには、経費を節減し、回転率をあげるしかありません。現在のカフェチェーンは、安さで勝負せずブランド価値や居心地の良さを重視する傾向がありますが、どうやら「ドトール」はその逆の戦略で戦っているようです。

ショーケースに並んだサンドイッチもお手頃価格でした(筆者撮影)

お値段以上の価値を感じる「モーニングセット」

インテリアは至って簡素。店内レイアウトからは、限られた床面積にいかに多く席を作るか苦心したのが伝わってきます。

店の奥まで行くために座っている人の背中をこすりながら進まねばならぬほどに通路は狭く、壁をうまく使い、テトリスのようにカウンターテーブルを組み合わせて、20席ほど設置した客席は、もはや立ち食いそば屋の様相を呈しています。

お世辞にも居心地が良いとは言えないかもしれませんが、それでも繁盛しつづけるのは、皆が「ドトールは安くておいしい」というのを知っているから。時間のない朝にサッと食べてサッと出ていくなら、おしゃれな内装も座り心地の良い椅子もそんなに重要ではないのです。

税込450円。お値段以上の価値を感じる、そして少しの謎もくれる(?)魅力的な「モーニングセット」がそこにはありました。

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。
チェーン店最強モーニング
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大木奈 ハル子 ブロガー・ライター

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おおきな はるこ / Haruko Ookina

40代のサブカル好き主婦ブロガー・ライター。東京都港区の、狭くて古い(30平米築50年)ボロマンション在住のミニマリストで、夫と猫と同居中。趣味はチェーン店の朝メニュー食べ歩き、特技は節約とDIY。日本聴導犬協会の、子犬預かりボランティア活動中。著書に『台所図鑑』(大和書房)がある。テレビ出演は『THE TIME,』(TBS系)など。『東洋経済オンラインアワード2023 クリエイティブ賞』受賞。アメブロ公式ブロガー。
アメブロ:https://ameblo.jp/1room2live/
朝メニューブログ:https://865.games/
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