日本人の仕事満足度が今後上向くと期待できる訳 「熱意あふれる会社員」割合は145カ国で最低だが

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日本の会社員の仕事満足度が低い原因は、「実にさまざま」「人それぞれ」です。ただ、筆者は、外国人のコメントを聞いて、「就社」「共同体」という日本企業に特有の慣行・特徴に注目しました。

日本では、新卒学生は会社で担当する職務を定めずに入社します。「就社」です。そして入社後も、ジョブ・ローテーションで数年おきに職務を変えます。職務を明確に定めて「就職」する諸外国と比べて、日本では望まない仕事を担当しているケースがどうしても多くなります。

また、日本人にとって会社は、働いて給料を得る「機能体」というだけでなく、心のやすらぎ・人とのつながり・社会参加などを実現する「共同体」でもあります。そのため、純粋に会社を「機能体」と考える外国人と比べて、会社を評価するポイントがたくさんあり、「ここが足りない」と厳しい評価をします。

日本人は会社に期待しすぎ

このように、日本の会社員は、「就社」によって望まない仕事を嫌々やり、「共同体」である会社にいろいろと期待しすぎて失望する――。これが、そこそこ給料が高く、クビにならない日本の会社員の仕事満足度が低い理由です。

いま、働き方改革が進められています。若い世代の価値観が変わっています。こうした変化によって、日本の会社員の仕事満足度は上向くのでしょうか。筆者は、将来を楽観視しています。

近年、大企業を中心にジョブ型雇用への転換が進められ、国も普及を後押ししています。ジョブ型雇用とは、まさに「就職」です。また近年増えている中途採用では、ジョブ型雇用が主流です。ジョブ型雇用が浸透すれば、望まない仕事を嫌々やるというケースはかなり減るでしょう。

若い世代は、会社生活とプライベートを明確に分け、会社との関わりを必要最小限に抑えようと考えています。F.テンニースが1887年に唱えた「ゲマインシャフト(共同体社会)からゲゼルシャフト(機能体社会)へ」という変化がようやく日本でも起こり、「会社に面倒を見てもらおう」という過剰な期待はなくなりそうです。

もちろん、ジョブ型雇用への転換が掛け声倒れに終わったり、会社側が若い世代の考えを「やる気を見せろ!」「会社を愛せ!」と押さえ込むことが考えられます。企業の経営者・人事部門がどこまでやり方・考え方を変えるのか、大いに注目しましょう。

日沖 健 経営コンサルタント

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ひおき たけし / Takeshi Hioki

日沖コンサルティング事務所代表。1965年、愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。日本石油(現・ENEOS)で社長室、財務部、シンガポール現地法人、IR室などに勤務し、2002年より現職。著書に『変革するマネジメント』(千倉書房)、『歴史でわかる!リーダーの器』(産業能率大学出版部)など多数。
Facebook:https://www.facebook.com/takeshi.hioki.10
公式サイト:https://www.hioki-takeshi.com/
 

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