台湾有事シミュレーションに見る日本のジレンマ 中国によるサイバー攻撃に、日本はどう対応?

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松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):このサイバー攻撃のシナリオの中では、防衛当局の方は武力攻撃開始の兆候だということで、早めに事態認定してほしいと要請したというシナリオだが、それに対して小野寺氏は総理役として事態認定には慎重であると。(事態認定は)なかなかできないという判断をしているが、これはなぜなのか。

日本がサイバー攻撃を受けたら

小野寺五典氏(自民党安全保障調査会長・元防衛相):首相役として、日本は「アクティブ・サイバーディフェンス」でまず対応しろ、という指示をした。この想定が可能になるのは2027年なので、実際は今の日本では出来ないが、これから法改正をして、日本がサイバー攻撃を受けたら、日本からも逆にサイバーで反撃をできる、攻撃して無力化する。こういう「アクティブ・サイバーディフェンス」ができるということを前提に、まずは、サイバーにはサイバーで攻撃しようという、ことにした。実際、そのサイバー攻撃を受けたことが、武力攻撃となるかどうかを、実は世界が見ている。実は、一番私どもにとって大事なのは、どちらが先に手を出したか、ということ。どちらが先にエスカレーションフラグをあげたか、ということで、その後の国際社会の見方、あるいは日米の同盟、これもアメリカが共同防衛で、日本を守るといっても、アメリカ国内で日本が先に手出した戦いだろうとなる可能性もある。なぜアメリカがそれに入らなきゃいけないのだ?という世論が出てくることもある。なので、日本が初めに手を出したのではないということを、しっかりさせる必要がある。その中で今回の想定は、あくまでもサイバーで攻撃された。それから、海底ケーブルを一部切られているということだけで、これは武力攻撃とすぐに判断するには早いと思う。ただ、例えば、サイバー攻撃で日本の原子力施設がメルトダウンをさせられる。このようなことは、これはもう完全に日本を攻撃する意図があるということで、「武力攻撃事態」を認定できるが、今回のシミュレーションのように、海底ケーブルが切られたということだけで、武力攻撃というふうに予測するというのは、ちょっと早いなと私は判断した。

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